国家の歴史、親子の物語
starstarstarstarstar - 4年前
恥ずかしながら、済州島で起きた事件のことを知りませんでした。この映画のおかげで知ることができました。それだけでも観てよかったです。
歴史的な荒波になす術なく翻弄され、それでも一生懸命生き延びた人たちがいたこと。
国家が個人に与える影響の大… 続きを読む
恥ずかしながら、済州島で起きた事件のことを知りませんでした。この映画のおかげで知ることができました。それだけでも観てよかったです。
歴史的な荒波になす術なく翻弄され、それでも一生懸命生き延びた人たちがいたこと。
国家が個人に与える影響の大きさにも圧倒されましたが、個人的には親子の関係性も印象的でした。
母親の全てを受け入れられるわけではない、理解できないこともある、腹が立つこともある、それでも側にいる時間を作り、支え、できることをしてあげたいと望む、、、
事情は異なりますが、自分も母親とまさにそのような関係で葛藤していたので、ヤンヨンヒ監督が済州で吐露する想いに涙せずにはいられませんでした。
国家の歴史の物語でありながら、親子の物語でもある。このつながりをこれほど自然に描ける監督は他にいないのではないでしょうか?
☆4.7
starstarstarstarstar - 3年前
関西弁で軽快によく喋りよく笑い、亡き夫と仲良く、娘の婚約者に気さくにいそいそと自慢の参鶏湯を振る舞い、レシピを伝授しようと共に台所に立つ素敵な「オモニ」。
その姿が、監督の兄3人を帰国事業で北朝鮮へ送り、その息子たちに日本で借金してまで送金… 続きを読む
関西弁で軽快によく喋りよく笑い、亡き夫と仲良く、娘の婚約者に気さくにいそいそと自慢の参鶏湯を振る舞い、レシピを伝授しようと共に台所に立つ素敵な「オモニ」。
その姿が、監督の兄3人を帰国事業で北朝鮮へ送り、その息子たちに日本で借金してまで送金する朝鮮総連の熱心な「活動家」という姿と一致せず戸惑った。
しかしオモニの体験が明らかになるにつれて「北朝鮮なんかのために尽くす人はまともじゃないに違いない」という先入観と、日本が関わった朝鮮半島の侵略の歴史と在日朝鮮人であり戦禍の被害者である一人の人間の体験に対する無知を突きつけられた。1948年の4.3事件の悲劇と、リゾート地と化した今の済州の姿は、地上戦により県民の4人に1人が死亡した沖縄の姿が重なった。
誰にでも各々に変えようのないイデオロギーはある。そもそも他人の心や行動は理解できるものでもない。たとえ親子でも個人の経験は違うし、経験から受ける思いの強さは理屈や数値で測れない。
それでも話し合える人もいるし,話してみないと何もわからない。
国、人種、宗教といった大きな主語だとイメージと固定観念で語ってしまう人の話も二人称単数の「あなた」の物語なら理解できる。一対一の「あなた」と「私」なら一緒に台所に立つこともできる。そう信じたいし、同時に「未来思考」などという一見前向きな言葉をかつての暴虐を希釈するために使ってはいけないと思う。
アルツハイマーが進み、「覚えてる?」と聞かれる度に思い出せなかったり言葉が出なかったりすることをどこか申し訳なさそうに、恥じるようにするオモニの姿も、尋ねながら心を痛める監督の姿もあまりに苦しい。
かの時の残酷さを語れる人があと何人いるだろう、語られず失われた物語が何人分あるだろう。
2022を代表するドキュメンタリー
starstarstarstarstar - 3年前
北朝鮮藉のご両親をもつ女性監督の作品。どうして大好きな兄達を帰国事業で北朝鮮に行かせてしまったのかが、年老いて認知症になりゆく母親との生活のなかで見えてくる。
そこには済州島の大虐殺事件も関わり、当然レイシズムの問題もある。
母親の作る参鶏湯のシーンに、このタイトルが重なってグッときた。
私的には去年のベスト1ドキュメンタリーでした。
大阪のコリアンタウン
starstarstarstarstar - 4年前
先日大阪に行く機会があり、コリアンタウンに行きたかったのですが、時間が無く断念しました。でもよかったです。なぜなら、この映画を見て初めて、その街の歴史的背景を知ったからです。それを知らずに行くのと、知ってから行くのとでは、全く印象は違うでしょう。朝鮮半島の歴史をさらに知りたいと思いました。本当に、見て良かったです。
個人的なことは歴史的なことである
starstarstarstarstar - 4年前
母への思い(スープ)と葛藤(イデオロギ-)を軸に、家族の日常が描かれたあと、クライマックスで「歴史と人間」という大きな主題が差し出される。ハンディーカメラの膨大な映像を緻密に構成して、劇映画のような感銘を引き出した手腕は見事。
親子の対立… 続きを読む
母への思い(スープ)と葛藤(イデオロギ-)を軸に、家族の日常が描かれたあと、クライマックスで「歴史と人間」という大きな主題が差し出される。ハンディーカメラの膨大な映像を緻密に構成して、劇映画のような感銘を引き出した手腕は見事。
親子の対立・葛藤というごく私的な問題の根底に歴史が突き刺さっている。「個人的なことは政治的なこと」であるとともに、「歴史的なこと」なのだ。私の父との葛藤の根っこにも父の引き揚げ体験があるのかもしれないが、もう確かめるすべはない。