この作品でしか表現し得ない
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最高だったシーンが3つ有ります。 まずは彼の踊りのシーン。まさか彼があそこまで伸びやかな自己表現を完成させるなんて誰が予想できたでしょうか。演者の伸びやかな身体表現が胸が空くほど見事でした。 そして団体で糾弾されるシーン。配役・演技・流れ全てが完璧でした。あの5分だけを切り取って何度でも見たいほど、忘れられない、本当に完成されていた。 団体関連のシーンはどの場面も絵的にも話的にも非常に面白く作り込まれ完成度が群を抜いていたので是非お勧めしたい。 そして、「夜を走る」シーン。私たちがフライヤーで印象付けられた「夜を走る」シーンは、何と最後までほとんど描かれないのです。代わりに見せられるのは。 しかし確かにあの「夜を走」った時間に全ての発端があり、ずっとあの(映画内では見てもいない)光景がまざまざと蘇る。その間に何の化学反応が起きたのか?映されていないのに観る者を惹きつけてやまないシーンでした。 全編通してとにかく演者の芝居が物凄い。秋本の真に迫った演技はもう堪らないし、谷口の家庭での幽霊みたいな声なんかも凄い。本郷も信じられないほど良かった。あのクソ上司がもじもじ巻いたタオルでベソかいてるところなんか実に素晴らしい演技だった。 そして絵も音もいい。あの狭い窓からヒソヒソこちらを覗くシーンの絵面や工場の前にブツがポイっと置かれて走り去るところ、最高音質で最高に耳障りな音で次の不穏なシーンを迎えさせる構成なんか、あんまり上手すぎてワクワクしてしまったくらい。 今回の作者の新作が出たら間違いなく観に行きます。他ではとても観れない最高の映画でした。