何が正しいかよりも生き物としての強さ。
【ドライビング・バニー】 赤子の娘を『ぶん回して叩きつけた』という鬼の所業をしたDV夫を殺害した罪で服役。 出所後は定職に就けず、妹夫妻宅に世話になりながら交差点に止まった車の窓拭きで日銭を稼ぐ。 過去に冒した罪から、接見禁止で児童保護… 続きを読む
【ドライビング・バニー】 赤子の娘を『ぶん回して叩きつけた』という鬼の所業をしたDV夫を殺害した罪で服役。 出所後は定職に就けず、妹夫妻宅に世話になりながら交差点に止まった車の窓拭きで日銭を稼ぐ。 過去に冒した罪から、接見禁止で児童保護施設経由でしか我が子に会うことができず、再び一緒に暮らすことを許可してもらうため、なんとかして定職と住所を獲得するために昼夜を問わずがんばる母親。。。。 . . という、一見 特殊な設定のように見えて その実、日本でも身近にある構造悪と、 社会に存在する様々な層のひとびとそれぞれの人間性をものすごいリアリティで描いた良作です。 . . 社会的弱者と見るや、鬼の首を取ったかのような凄まじい形相で蔑んでくる、ストレス過多な中流層のキャリアウーマン。 連れ子再婚で肩身の狭い思いからか、常に再婚した相手の男の顔色を伺い、我が娘への性的虐待に気づかない 疲れ果てた看護師。 相手の背景を鑑みず、一律杓子定規に対応する受付。 かと思えば辛抱強く、感情的になりがちな母親を説得する親身なソーシャルワーカー。 どん底にいる相手の背景を何も聞かずに 瞬時に理解し、相手の嘘も気づかないふりをして世話を引き受ける黒人のゴッドマザー。 男性性パワー至上で自身のパワハラ的思考を疑いもせず、気づかず周囲の女を苦しめている、ごく普通の中年男性。 . . 善いひと、そうでない人の存在バランスが絶妙。 まさに実社会。 . . ニュージーランドが舞台の作品ですが、 ニュージーランドの若者の自殺率は確か日本 と1.2.を争うらしく、貧困層の住宅難事情は似たような状況と聞いています。 コロナ対応ひとつとっても、 『ワクチン未接種の接客業は営業停止』。 営業停止ですよ。 選択の余地なし。 ワクチン打つか、仕事失うかどちらか選べ。 という極端さ。 車のハンドルでさえ正しく動かすには左右の遊びが必要なのに、そんなにゆとりの無い社会では ごくごく普通の幸福を得ることが、 一旦社会システムから外れてしまったが最後、地獄のように難しい。 途中までは彼女に降りかかる悪意や 彼女の短絡さが招いてしまう事態の悪化が本当につらく、胸が痛くなる。 が、社会システムだとか、 ルールだとか常識だとか、やれ空気読むだとか、もうどうでもいいから娘を取り返す‼️とハラを決めた彼女の行動は清々しい。 最後に登場する思慮深く強い女性保護司と救命士に自分の気持ちが救われた気がしました。 . . どんな経歴があろうと、 短絡的で社会的にはアレに見られようと、 これだけ強い生命力で真剣に、 生身で自分と向きあってくれた大人と出会えたら きっとあの少女は将来、自身の力で幸せを手に出来る強さを得るだろう。 と思える納得のラスト。 ■評価🌟🌟🌟🌟 何が正しいか、 というよりイキモノとしての強さ。 評価は人によってかなり分かれる気がしますが、作りも展開も非常に上手いので観て損なし。 サービスデイ鑑賞ならおつりが出ちゃう一本です。 . . ■シネマカリテ スクリーン1⃣ 🅰-9⃣。 客層の良いミニシアターです。 いつ行っても鑑賞マナーのアレレなタイプを見たことがないので、混雑する土日祝でも安心してチケット買って大丈夫✨ スクリーンは控えめですが音は良い! のでお気に入りなんですが会員制度がないのが残念なのよね〜。 というわけで、水曜か1日が狙い目です🌟