☆2.8
ソ連国歌を流し旗を掲げさせ、ソ連への回帰願望を表明する姿はロシアのプーチンに限らず世界各国のナショナリズムを煽る保守的な為政者とその支持者と重なった。 特にソ連国歌を流すことに後ろ向きの立場を取る監督(当時はプーチンのイメージ広報担当)を説… 続きを読む
ソ連国歌を流し旗を掲げさせ、ソ連への回帰願望を表明する姿はロシアのプーチンに限らず世界各国のナショナリズムを煽る保守的な為政者とその支持者と重なった。 特にソ連国歌を流すことに後ろ向きの立場を取る監督(当時はプーチンのイメージ広報担当)を説得しようとプーチンが言う「なぜこの歌を駄目だと思うんだ?良い時もあったのになぜソ連の最悪な時を重ねる?」という言葉には強い既視感を覚えた。それでも「ご指摘には当たらない」とか「検討します」とか「誤解を与えて…」とか言わずに「妥協点を探ろう」と言う姿には最低限話し合う誠実さがあった。 一方で就任当初の若きプーチンが「いつか一般人に戻ることもできるから君主ではなく民主的に選ばれるのが良い」と言っていた事実が、退くに退けない現在の痛切な皮肉だった。どうしてこうなってしまったのか。 【上映後トークショー】 ゲスト:岡部芳彦、黒井文太郎 「ロシアは非常に貧しい時代があり、“あの時の地獄がまた訪れるぐらいなら今のロシアの方が良い”という国民からの現政権の支持に繋がっている面もある」 「ウクライナ侵攻前のロシアは“政治にさえ関心を持たなければ”、遊ぶところがいっぱいあり治安が良く観光地も綺麗で文化もある良い国だった。ひとたび政治に関わると危険だが」 ソ連崩壊〜ロシアの成り立ち、警察官に4ヶ月給料が払われないほどの当時の経済状況、KGB、FSB、新興財閥、核兵器拡散防止の為にエリツィンを支持した西側諸国・日本の国際状況などを知っていると更に深く楽しめる作品だと思う。トークショーゲストのお二人の著書を読んでおきたい。 『プーチンの正体(黒井文太郎,宝島社新書)』 『Yahoo!ニュースが認めた細かすぎる公式コメントをさらに細かく深掘りしたロシア ウクライナ戦争解説 (岡部芳彦,ワニブックスPLUS新書)』 《余談》 内容は貴重で有意義な作品だと思いつつ、どうしても序盤の当時小学校高学年〜中学生程度の娘の入浴時の姿の映像を全世界に発信できる神経が信じられなかった。背景のテレビの音が残したかったなら音声で十分だし、娘本人も撮らないで、と嫌がっていたのに悍まし過ぎる。