☆3.5
「ハマのドン」こと藤木幸夫の政治スタンスは「保守」である。しかし本作は「保守」を掲げる政権との対比で保守とは民意とは何かと幾度も問いかける。 意見が違うからこそ話し合う場を設け妥協点を探ることが保守の「懐の深さ」ではなかったか。「古き良き」… 続きを読む
「ハマのドン」こと藤木幸夫の政治スタンスは「保守」である。しかし本作は「保守」を掲げる政権との対比で保守とは民意とは何かと幾度も問いかける。 意見が違うからこそ話し合う場を設け妥協点を探ることが保守の「懐の深さ」ではなかったか。「古き良き」を守ることが美徳ではなかったのか。既にこの世を去った人々の残したものを次代へ引き継ぐのが保守ではなかったのか。 選挙に勝った者が好き勝手にするのでは議会とは、議員とは、民意とは一体何の為にあるのか。新しいものと儲かるものが最優先にされたときに危機に晒されるのは何か。公として利益よりも守らねばならないものは何か。 (なお、「反対するなら敵」と見做して攻撃するときは昔の方が苛烈且つ暴力的で血生臭かったので「昔は良かった」とは思わない。あくまで今の問題は「権力側が強くなった」のではなく、「貧しく弱くなった個々の意見(民意)を力のある側が押し切っている」だと思う) 一方で悉く高齢男性しかいない港運会議、横浜市長選の市民会議、会食(パンフレットの人物相関図や寄稿文もほぼ男性である)。彼らにこの会議や会合で決まる「民意」から排除されている存在への意識はあるのだろうか。 せめて制作側からこの点へ指摘を入れられなかったのか。何か新しいことを始めよう、変えようと声が上がるのは、単に「古い」ことが責められているのではない。古い制度や前提では「いないもの」として扱われてきた者が声を上げ始めているのだ。 今回のカジノ誘致は法定数の3倍を超える19万筆の署名が寄せられ、意見を寄せた横浜市民の9割が反対した男女問わない内容だったから“ハッピーエンド”を迎える。しかし、もし男女によって分かれる議題の場合、決定権を持つ側に見えない問題の場合、日本の民主主義が「ただし○○は除く」状態であることが浮き彫りになるのではとやはり思わずにはいられなかった。 《余談》 ①スタッフロールの後に「ドン」からの言葉があるので席を立たないよう注意 「腰巾着ばかりだ、偉い人には良いが国民には迷惑だ」 ②関連記事 東京新聞2023年4月28日記事 “あの元首相を育てた「ハマのドン」がカジノを阻止したワケ ドキュメンタリー映画公開 「自民はやりたい放題」” https://www.tokyo-np.co.jp/article/246804