一意専心映画
なぜか期待薄だったけど嬉しい誤算。情報量が多く、かなり興味深く楽しめる。幾分ゴダール映画風に作られているのは、ご愛嬌。 まず、デビュー前(最近発見されたリヴェットの『ル・カドリーユ』の映像!)20歳のときから最晩年に至るいろんな時期のゴダ… 続きを読む
なぜか期待薄だったけど嬉しい誤算。情報量が多く、かなり興味深く楽しめる。幾分ゴダール映画風に作られているのは、ご愛嬌。 まず、デビュー前(最近発見されたリヴェットの『ル・カドリーユ』の映像!)20歳のときから最晩年に至るいろんな時期のゴダール本人の映像が楽しめる(個人的に驚いたのは、眼を疑う速さで滑るように階段を駆け降りる映像)。ゴダールの過去の作品に出演した女優たちが(存命のひとは)現在形で登場、当時のことを、撮影秘話(あの独特の台詞回しの種明かしとか)その他いろいろ聞かせてくれる(皆、高齢のはずなのに、聡明かつ若いときより美しい!)。 A.カリーナのゴダールが一目惚れした石鹸のCM映像と、付き合って間もない頃のインタビュー映像が観れる。当時のシネマテーク・フランセーズやA.ラングロワの映像、カイエ・デュ・シネマ編集部の映像、ゴダールの仲間たち(ロメール、シャブロル、リヴェット等)と一緒にA・バザンにも会える。五月革命とカンヌ映画祭上映中止要求の映像も観れる(このふたつにはトリュフォーも登場)。J.P.ゴランの顔も、ゴダールの父親と妹の昔のインタビュー映像も観れる(顔は似ているけれど、心は全く通じなかっただろうと推察される妹)。 名前だけ知っていたカイエ・デュ・シネマの批評家たちのコメントを顔や表情を見ながら聴ける。これまた名前と作品しか知らなかったアンヌ=マリー・ミエヴィルの映像も勿論登場する。映画批評家以外のコメンテイターたちもいい。かつてマリナ・ブラディの息子役で出演した(今は)歴史家のクリストフ・ブルセイユの毛沢東語録のエピソード、かつて16歳の頃『中国女』批判をした(今は)映画監督のロマン・グーピルの『勝手に逃げろ/人生』の助監督時の象のエピソード、D.コーン=レーヴィットの西部劇のエピソード、元ジガ・ヴェルドフ集団のジェラール・マルタンのゴダールの笑いについての話(心から笑うゴダールの笑顔をわたしも見たかった!)や、はんだごてが下手だけど自分でやる話など。いずれのコメンテイターもゴダールへの愛が感じ取れるのがいい。M. デュラスとの場面では、ゴダールは他では見せない表情を見せ、必見。その他、一瞬だけどジャン・コクトーやオードリー・ヘプバーンやフィリップ・ソレルスなども登場。 いろんな登場人物の話の間にいろんな作品の断片が挟み込まれているので、より多くのゴダール作品を観ているほうが、それが何なのかすぐわかり、楽しみ大きいかもしれません。 期待薄にする一因のダサい邦題、原題は「ゴダール 映画のみ」 あるいは「ゴダール 映画一筋」(Godard seul le cinema)。「ゴダールだけが映画」と読めなくもない。