イニョン
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12歳、24歳、36歳と 年月を経て変化する2人の関係を丁寧に描く。 2人の気持ちや背景など多くは語られないが 表情や言動が饒舌に想いを語り合う。 微細な心の動きが一つ一つの動作や視線に現れて 切なく寂寥感の漂う空気感が映像に溢れる。 映像がキラキラゆらゆらしてて見惚れた。 2人にとっての初恋は実らずに終わりを迎える その点で言えば悲しい結末だったように思う。 内向的で真面目で階級意識もあるヘソン 外交的でユーモアがあって枠にとらわれないノラ 対照的な2人だからこそ惹かれあっていた。 だからこそ、ヘソン なんで12年も心の中にいた人に会いに行かないんだよ! なんで可能性が低くても今世勝負しないんだよ! 言葉にしなきゃ、行動しなきゃ、伝わらないよ… もどかしい思いでずっとスクリーンを見つめていた。 でも、日本人の自分はどちらかと言えば韓国の意識に近いだろうし、ヘソンが女々しく意気地なしにしか見えなくて悲しくなった…。 ノラが移住しなければ2人は結婚してたと思う。 でも、無い世界線を望んでも交わることはもうない。 ノーベル賞の話をいつまで経っても引き合いに出すヘソンともう気に留めていないノラの何気ない会話が見てるこちらの気持ちを抉るようだった。 いつだって過去を振り返ってるのはヘソンだった。 もっと言えばアーサー含め男がもしもの世界を夢見てた。 もし韓国から移住してなかったら? もし12年前に直接会っていたら? もし招聘された地で会わなかったら? もしあの時気が合ってなかった? そんなタラレバを言っても仕方がない。 ノラは先を見つめて今を生きていた。 12年経った今もなお愛を伝え続けてる姿も、韓国語の寝言を理解したくて勉強する姿も、バーで自分を置いてけぼりにして会話する2人の横に居続ける姿もかっこよかったよ。アーサー。 見てる側から言わせればヘソン、勝ち目ないよ。 ヘソンは純粋で運命を信じて疑わなかった。 ノラも自分と同じでいつまでも12歳のあの時を夢見てると思ってた。24歳の時に連絡をとった時、ノラはヘソンに来て欲しかった。行動で気持ちを伝えて欲しかった。でもヘソンは12年ぶりに繋がって運命を再確認できてちょっと満足しちゃったんだと思う。だから、会えなくなることはフラれたと思うし、ノラに対していじらしさすら感じてたと思う。中国で出来た彼女も愛してたわけではなくて、ノラへの当てつけだったんじゃないかな。 だからノラが彼女の出来た自分を妬まないのが気に食わなかったし、納得できなくて会えなかったんだと思う。 そして気持ちのない彼女と距離を置いて、ノラに会いに行きワンチャン付き合えるかもって淡い期待を寄せてた。再開してハグされて笑みが溢れる瞬間から2人はすれ違ってた。 それでも最後の最後、99%あり得ないけど! わずか1%の可能性に賭けて手を取れよ! そう言うとこだよ!ほんと…。 理想が高くて受け身で被害者意識すらある。 烏滸がましい、浅ましい。 でも、ヘソンと別れる時、そこには確かに12歳の少女がいた。 泣き虫のノラを迎え入れた時、アーサーとの絆はさらに深まったように思える。 ノラとアーサーはケンカしながらも思い合っていけると思えるラストだった。 話自体はそこまで起伏もなく、淡々と進むが、 人物の表情は豊かで見れるこちらは没入しやすかった。 ヘソンの視点も共感ができないと、ヘソンにイライラして薄っぺらい物語に見えちゃう気もするけど、片思いしてた人に数年経ってから思いがぶり返して連絡をとった身としてはヘソンの気持ちがかなりわかる。 前世の縁を信じるにしても、時間は巻き戻らない。 ヘソンは20年以上に及ぶ恋があっけなく終わった。 顔も良いしちゃんと仕事もしてるしまた恋だって出来ると思うけど、過ぎ去った年月は重い。 来世に夢みないで今世頑張ろうと思えた。 10代、20代の若者にぜひ見てほしい。 30超えた人には感動よりダメージがある作品だった。