今年いちばんのびっくり
starstarstarstarstar - 2年前
※本文にネタバレがあります ネタバレを読む
チラシと予告編にだまされた。とまで言わないですが、前半は、予告どおりのほっこりな展開。先生もタクヤも
問題を抱えていたかも…でも予告では、隠しておいタノね。と。チラシにあるとおりに誰かが誰かに恋をした話…だと思いつつ後半は全く違う展開で、今年一番びっくりしました。別に監督も、製作者も、観客を、驚かすつもりもなかっただろうに。いろいろ突き刺さる言葉も、印象深く。果たして、さくらは、立ち直れたのか?
タクヤは、諦める事が出来たのか?荒川先生は、かなりの年代物のボルボで新しい人生始められたのか? この後のそれぞれの人生いろいろ気になるが、この映画には、変な妥協もご都合の良い話の展開はなく。過剰な優しさもない。当たり前の現実がたんたんと描かれる。
ドビュッシーの「月の光」の曲の下、さくらの前より上手になったスケーティングだけが、観る者に時の流れを
感じさせずにはおらない。特筆すべきは、3人のスケーティング技術の変化。出来る人が下手にやるのは難しいハズだし、主演の池松壮亮は九州出身で元々スケーティングには縁遠いハズ。それぞれに隠れた努力を潜ませている。本作は忘れ難き名作です。
たまたまですが、今年一番の月夜と言われる
中秋の名月🌕の日の鑑賞となりました。
☆4.2
starstarstarstarstar - 2年前
好意とは厄介だ。
それは「相手の特別な存在になりたい」「〇〇したい」「〇〇して欲しい」ともすれば肉欲的な接近・接触を望むなど、欲が表面化する不埒な感情でもあり、相手を盲目的に美化・神聖視してしまう危険な信仰でもある。
そもそも人が人を好きに… 続きを読む
好意とは厄介だ。
それは「相手の特別な存在になりたい」「〇〇したい」「〇〇して欲しい」ともすれば肉欲的な接近・接触を望むなど、欲が表面化する不埒な感情でもあり、相手を盲目的に美化・神聖視してしまう危険な信仰でもある。
そもそも人が人を好きになること自体が合意をとった上での行動ではなく、本質的には身勝手で迷惑な行為なのかもしれない。
しかしタクヤはさくらに何かして欲しいと望まない。外野やゴーリーの時は自分から動かなかった彼は、ただまぶしい「お日さま」に自らを近づけようと懸命に、ジタバタと、生き生きと動き出す。さくらは当初そんなタクヤの存在すら知らない。
その点を踏まえると、タクヤからさくらへの好意の感情は恋というより憧れだ。
「なんか羨ましかったんだよ。ちゃんと恋してるっていうか、まっすぐでさ。」
荒川の目には、そんなタクヤの姿がまぶしく映る。
そしてそんな「こんな町に全然いない」存在の荒川の魅力を周りからの一言でさくらは認識する。
異なる方向と色合いで各々が淡い好意を抱く3人は、「言えない」人々でもある。吃音をもつタクヤは物理的に言葉がうまく「言えない」。生業にもかかわらずスケートの話をしない荒川は、周囲に「言えない」属性にある。さくらは彼女にやや重い期待を掛ける母親も含めて他人に自分のことをほとんど「言えない」でいる。
それぞれの「お日さま」たちがスケートを通して歩み寄り編纂された氷上の演技は、思わずタクヤの友人(まじ超絶良い子)と共に拍手を贈りたくなるほど眩い輝きを放つ。
しかし好意とは厄介だ。
好意を寄せた相手が決して自分のものにならないと悟ったとき、自分の期待や理想と違う姿を見せたとき、人は勝手に傷つき、勝手に裏切られ、好意は0を通り越してマイナスにさえ転じる。
「言えない」3人はそれを言語化するほどの技術も消化/昇華させるほどの器用さも傷つかない図太さも持ち合わせていないし、持ち合わせる謂れもない。
雪解けとともに3人の淡く美しい光と繋がりが融解していく様は、あまりにももどかしく切ない。
荒川の存在は物語の推進力として見事に機能している。
一方でその役割が、少年と少女が光を交わすための燃料としてマイノリティという一点だけで消費されたのではないかという観客としての拭い難い居心地の悪さ、そして結果的に荒川に全てを失わせてなお自分はスケートを続け美しく滑るさくらの姿への違和感が、この物語の「好意の光と影」をあえて際立たせているようにも感じさせた。
(荒川にも救いと希望の兆し感じさせるシーンがあれば、この違和感は緩和されたかもしれない)
小さな輝きと痛みを経験し中学生になったタクヤは、荒川を介さないさくらとの一対一の対面で何を言うのだろうか。
後ろめたさを感じつつ、しかし歩み寄ることもできなかったさくらは何と返すのだろうか。
現時点では見通せない荒川の未来に光は差すのだろうか。
ストーリー、キャラクター、映像ともに余白と光が美しい一作だった。
やさしい映画
starstarstarstarstar - 2年前
北海道の風景。
小学生と中学生の初恋。
やさしい大人。
子供の成長。
どれもとても優しく良い話。
ただ、一つだけ「普通」じゃないだけなのに、全てのバランスが崩れて行く。
池松壮亮はさすが。スケート上手いな。
子役の2人もとても可愛らしく… 続きを読む
北海道の風景。
小学生と中学生の初恋。
やさしい大人。
子供の成長。
どれもとても優しく良い話。
ただ、一つだけ「普通」じゃないだけなのに、全てのバランスが崩れて行く。
池松壮亮はさすが。スケート上手いな。
子役の2人もとても可愛らしく。スケートも上手い。よく見付かったな、と関心。
またふたりの作品が見てみたい。
カンヌのある視点という時点でそういうことかもと思ったけど。
最後の終わり方も好き。
良い映画でした。
エンドロールで完成される
starstarstarstarstar - 2年前
元々、タイトルとなったハンバートハンバートの曲を昔から好きで、歌詞の世界観がどのように描かれるのか期待して鑑賞しました。
思春期の青春と葛藤、関わる大人達の青春と葛藤。
決して激しくなく、穏やかだけど、優しい世界にひそむ光と影。
少ない台詞… 続きを読む
元々、タイトルとなったハンバートハンバートの曲を昔から好きで、歌詞の世界観がどのように描かれるのか期待して鑑賞しました。
思春期の青春と葛藤、関わる大人達の青春と葛藤。
決して激しくなく、穏やかだけど、優しい世界にひそむ光と影。
少ない台詞、牧歌的な北海道の景色、だからこそ自分の中で咀嚼し、自問し、揺さぶられる。
そして、エンドロールの秀逸さ。最後まで観て、作品の深みや愛着が増しました。
今、穏やかに鑑賞後の胸のちいさな痛みとあたたかさの余韻に浸っています。
胸の奥の何かが揺さぶられる
starstarstarstarstar - 2年前
美しすぎる風景に、静かに寄り添う登場人物たち。それぞれの想いと、それぞれの喪失と。わからない何かが胸に刺さりまくる。
人生経験まだまだのはずの若い監督が、どうやったらこんな深い作品を撮れるのだろう。自分が同年代だったら嫉妬しか湧かないただろう…。