シンデレラ
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ファションデザイナーを志すElla(Camila Cabello)は、継母と義姉との窮屈な生活の中でも夢を追いかけて試行錯誤を繰り返していた。古い慣習を是とする世間の風潮に嫌気が差していた彼女は、宮殿で開かれる舞踏会に参加するよう町で声を掛けられる。 ◆ We are a part of the rythem nation. 世界的に有名な御伽噺『シンデレラ』を、今作では脚本も勤めたKay Cannon監督が大胆にアレンジ。古き良き童話に《古い閉鎖的な価値観を吹っ飛ばす》という現代風のエッセンスが加えられていました。 「灰かぶり」の設定は童話に準拠しているのですが、従来の「悲壮感」や「みすぼらしさ」といった雰囲気はありません。些細なことは気にしない「豪快さ」と、夢への「情熱」を持ち合わせた明るいキャラクターで、今までのイメージを吹き飛ばすような前向きで明るいミュージカル作品に仕上がっていました。主演に抜擢されたラテン系シンガーソングライターのCamila Cabelloは、今作のヒロイン像にマッチしています。 いじわるな継母役には『アナと雪の女王』のElsa役でも知られるIdina Menzelをキャスティング。圧巻の歌声でミュージカルパートを支えます。ロマンスのお相手役である王子には、いま注目されているイギリスの若手イケメン俳優Nicholas Galitzineが大抜擢。安定した演技力だけではなく、美しいハイトーンボイスも魅力的でした。 ◆ Look at you, little disgusting creatures. 『シンデレラ』で欠かせないのが「フェアリー・ゴッドマザー」の存在です。継母たちからの言いつけで舞踏会へ行けない可哀想なシンデレラの前に現れてビビデバビデブー。素敵なドレスとガラスの靴、南瓜の馬車を与えます。 現代風に新解釈された今作では「ファビュラス・ゴッドマザー」を名乗るドラァグクイーンへと大胆アレンジ。Ellaが助けた芋虫が、美しい蝶へと羽化して恩返しにやってきます。蛹の頃に「キモい!捨てろ!」とEllaを唆していたお友達(ネズミたち)に「小さくて醜い生き物」と言い返して馭者に変えるささやかなリベンジにどこか人間味を感じます。 このドラァグクイーンがEllaに与えるドレスが《自分でデザインしたドレス》というのが小粋なポイント。ファッションデザイナーを夢見るEllaが、舞踏会で王子のハートだけでなくデザイナーのパトロンをゲットすることにも繋がります。 そして《ガラスの靴》は、去り際に脱げてしまうのではなく、自ら脱いで追いかけてくる衛兵へと投げつけてしまいます。童話のシンボルとも言うべき代表的なガジェットを粗雑に扱うエッジの効いたコメディシーンに遊び心を感じます。 ◆ If it's a million to one, I'm gonna be that one. ヒロインのEllaを筆頭に女性陣の活躍が目覚ましい今作。ファッションデザインの才能を見出した異国の王様も女王でした。 御伽噺の『シンデレラ』では、意地悪な継母(と継姉たち)がヴィランとして登場します。今作においてもEllaをまるで召使であるかのように扱う継母でしたが、手酷い悪事は少なくヴィランのようには感じませんでした。義姉たちも頭が緩いだけで露骨な嫌がらせは無かったように思います。 王位を継承する気があるとしながらも自分の価値観を大切にしたいと主張する王子に対して、彼の妹Gwen(Tallulah Greive)は国の政に強く関心をもっていました。男系男子が王位を継承することを当然としてきた王室の慣例に風穴を空ける結末を迎えることに。 更に、国王(Pierce Brosnan)への不満をぶちまけて彼を跪かせるまで立場をひっくりかえした王妃(Minnie Driver)には驚きました。今作はロイヤルファミリー全体にアレンジが及んでおり、これはこれでありだと思うのですが、(作品全体を通しても言えることですが)現代風解釈がダイバーシティというよりもフェミニズムに振れすぎて見えるのが少し気になってしまいました。