現代でも通用する“狂気”の伝染
狂気性爆発の起因(トリガー)が不明瞭なまま話だけがズンズン進行する『キュア』の現代亜種ともいうべき怪作。昨今乱用される突発的暴力描写もやはり御大の演出は不穏さ陰鬱さ別格。料理教室シーンに顕著な表現主義的な撮影と照明が作品全体の厭さを底上げしている。黒沢清色全開だが珍しく世界を閉じた幕引きも新鮮。
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チャイムとは何なのか、どこから聞こえてくるのか、人を狂わせるサインなのか......。 料理教室の講師として働いている松岡卓司(吉岡睦雄)。ある日、レッスン中に生徒の田代一郎が「チャイムのような音で、誰かがメッセージを送ってきている」と、不気味なことを言い出し驚くべき行動に出る。松岡の周囲で次々と異変が起こり始めた。
©Roadstead
狂気性爆発の起因(トリガー)が不明瞭なまま話だけがズンズン進行する『キュア』の現代亜種ともいうべき怪作。昨今乱用される突発的暴力描写もやはり御大の演出は不穏さ陰鬱さ別格。料理教室シーンに顕著な表現主義的な撮影と照明が作品全体の厭さを底上げしている。黒沢清色全開だが珍しく世界を閉じた幕引きも新鮮。
『#Chime』。不可視で得体の知れないもの、狂気や殺意と隣り合わせである日常、近い存在の理解できない言動。「幽霊怖い」より「人間怖い」より遥かに上の日常への恐怖が、粘着質な感触の音や声と共に、じわじわと首を絞めあげる。45分の作品で本当に良かった、90分だったら耐えられなかった。
全開の作品ではなかろうか。集大成の逆の、サンプルという、名刺というか
黒澤ホラーという印象で楽しみにしていたがなんとも気味の悪い作品でした。演者が見事に気味悪さを全員が漂っていて、50分がより短く感じた。包丁がこんなに怖い作品ははじめて。
とても面白かったです 配信用に作られたというこれスクリーンで観られて良かったです 上映時間は45分とコンパクトで物語というより詩のようなリアルな日常のフリをした抽象 韻を踏むように少しずつ変わりながら繰り返される断絶 静寂と音像/映像のノイズ 黒沢清監督のインタビューで本作を「映画の3大怖いもの」すべてを入れた恐怖作だとしていて 1:幽霊の恐怖 2:自分が人を殺してしまうのでは、法律を犯すのでは、犯人になってしまうのではという恐怖 3:警察に逮捕されること、秩序の側が迫ってくるという恐怖 その表現に映像や音の密度が効いて 先日観た「蛇の道」もそうだったのかもしれませんが、ストーリー展開やロジックを切り捨てて日常的な所作を抽象化して描いた本作の方が楽しめました はっきりと見て取れて身構えることのできる狂気やそれとは逆に振り切れる直前まで隠れている諦めるしかない事故のような狂気は然程怖くなくて、「あれ?なんかおかしくない?」くらいから「普通じゃないのは確かだけれど実害は(今のところ)ない」くらいのリスクの可能性の方が怖いですね
フランス料理教室の講師を勤める一方で憧れのレストランのシェフとして働くことを夢見てレストランとの面接を受けたりしていた主人公の松岡。 ある日、フランス料理教室の講習中に田代という生徒が異常な行動に出るようになる。 玉ねぎの粗切りするシーンで田代は玉ねぎを小刻みに切り刻むことをやめないで続けると、さすがの松岡もこれ以上切ると玉ねぎの水分が失われてしまうと指摘した際に忠告した。 先生、チャイムの音が聞こえてこないか? チャイムからうめき声が聞こえてくる。 田代の話に松岡は何かの間違いだろうと聞き流し料理を続けるように促したあとも田代の不可解な行為は続く。今度は玉ねぎを焦がしてまで焼き続ける姿に松岡は田代に呆れながらも対処する。 後日、パイを作る講座を行った際に田代は松岡に対し抵抗を示すと自ら包丁を首に刺し亡くなってしまう。 田代が亡くなり、受講していた生徒がたった一人だけになってしまうと、鶏を捌くことを教えるシーンで生徒がなぜ捌かねばならない?理由を教えて!気持ち悪い!と咎められると、自らの考えを否定され逆上した結果殺してしまう。 ついに殺人を犯した松岡には、夢のためにも遺体を遺棄し隠蔽するしか道がなかった。しかし、料理教室が開けないほど生徒が来ないために家にいる毎日。そんな中、レストランの面接で必死になるがあまりに、レストランの良さすら答えられないほど自我をアピールし過ぎたがために面接は破談で終わってしまった。 もう後が無い松岡に待っているのは自滅するしかなかったのだろう。ラストの家に帰り、最初に目についた扉があいているのを見て松岡の最期だと思った瞬間だった。
レビュー忘れていました。 実力も経験もある最高の監督。 今後も、ご自分の作りたいものを作れるようにして頂きたいです。。 邪推ですが、この作品が劇場で公開された少しあとの作品などは、思うように作らせて貰えなかったのかと思ってしまいました。 「Chime」に関係ないコメントで申し訳ないですが。。
料理教室の講師である男が歪み切った世界を彷徨う話。無駄を剃り落とした黒沢清的世界がバチバチに決まった画で描かれていく。それが魅力であり、それが全てとも言える。過去作のリメイクも行い、キャリアとしては自己模倣に入ったとも言える。今作もcureを筆頭にいつかどこかで見た黒沢映画の要素が集められて形作られている。言うなればファンムービーであり、それ以上の物は無い。むしろ物理的な制作費の限界によって削られた要素や尺を鑑みるに、過去作に比べてパワーダウンしている。しかし役者の芝居が全員素晴らしい。棒な芝居も映画の世界を形作る要素として利用してきた過去作と違って、芝居がハレーションを起こしていない。これは役者に対する演出のスタンスが変わったというよりも、純粋に役者が上手いからであろう。異物ではなく、異物感としての芝居。だから尚のことファンムービー的であるのだが。