公開当時に時勢が変わり、原作者のノベライズとの分岐もあるが、見せ場も多くそつなく楽しめるかな
ランボー3 怒りのアフガン』の作品自体は、オーソドックスな筋立てと、シリーズ共有のアクションを散りばめた特殊任務の戦争活劇になっていて、細かいところには目をつぶれば、そつなく見れる出来だと思う。 ただ初見時は深い森やジャングルで、身を隠し… 続きを読む
ランボー3 怒りのアフガン』の作品自体は、オーソドックスな筋立てと、シリーズ共有のアクションを散りばめた特殊任務の戦争活劇になっていて、細かいところには目をつぶれば、そつなく見れる出来だと思う。 ただ初見時は深い森やジャングルで、身を隠してゲリラ戦法を得意とするランボーが、アフガニスタンの荒野で、戦うのに違和感と作劇上の苦労を、何となく察してしまった印象だった。 特にトラウトマン大佐を救出した後に、ランボーが得意のゲリラ戦術で追っ手と戦う場所に都合の良い、暗い巨大な洞窟内を設定していて無理矢理感が否めない。 前作ランボー2のクライマックスも性能や武装で劣るヘリで、最新の当時最強と恐れられた戦闘ヘリ(ソ連のハインドの設定)と死闘を繰り広げて、ランボーの機転で逆転勝利する展開だったのが、今回の戦車と戦闘ヘリのチキンレース・タイマン勝負で最期に正面衝突して、殆ど無傷フラフラと這いだしてきてランボーの勝利もちょっとやり過ぎで、ツッコミ待ち?と思うくらい現実的に有り得なくマンガになってある。 あのスピードで衝突したら車体も中の人もタダでは済まないので、最期にリアリティを壊し過ぎ。(当時の初日満員の新宿の劇場でも苦笑があった) スタローンの代表的ヒットシリーズで、1988年の本作『ランボー3』で、一度シリーズは完結したと思われたが、ほぼ20年後の2008年に『ランボー4』が製作され話題になったが、原作者のデビッド・マレルの手によるランボー3のノベライズ版を読むと、作者が殆ど関わってない後の続編の4・5の萌芽的面もあり興味深い。 原作者デビッド・マレルの手掛けたランボー3のノベライズは、ランボーがアフガンに潜入する導入まで、映画と同じだが、その後の展開の事柄や人物配置はかなり違っていて、ランボーと案内人モーサが、強烈な砂嵐に巻き込まれて死にかける場面などは、闘いの障害は悪党や軍隊だけではなく、その土地などの大自然も含まれる点などは、正当な冒険小説を想起させる。 一作目にあたる原作にもランボーが、州兵から隠れる為に、泥に埋まり窒息寸前になる描写がある 敵の基地に潜入する場面も捕虜にした基地に詳しい若いロシア兵を、案内役にして進む場面のサスペンスや、尋問でボロボロにされて重傷トラウトマン大佐を連れての逃避行などもリアリティがある。 映画には当時しない人物で、ランボーが助けた幼い女の子(アフガン部族長の娘)との、ちょっとした交流(ユーモアもある)や現地入って民間人の治療をしているオランダ人の女医とのやり取りもドラマとして成立している。 この二人にキャラクターはのちの4・5に登場するボランティア団体の女性や、5の姪やランボー助ける女医の原型に感じる。 小説は敵側も主に3人の軍人に焦点を当てており、好戦的だが、臆病で実戦には参加しない指揮官ザイセン大佐と手練の軍人だが、アフガン人の脅威的な粘りに厭戦気味な副官。 映画ではランボーと格闘の末に手榴弾で爆殺されるコウロフ軍曹は、小説では最後まで生き残っている。 ただしこの軍曹は、自分の境遇を憂いている叩き上げの優秀な軍人だが、倫理に乏しくアフガン人少年に、残虐な拷問(胸に硫酸を垂らすなど)して死なせたり、最後に裏切りしたりと映画より複雑なキャラクターで、仇役にも安易な罰を与えないマレルの作家性をみる ランボー3のDVDコメンタリーの気になるところについて 「監督のコメンタリー」 ランボー3のDVDに入っている監督のコメンタリーだと、このノベライズには殆ど触れてないが、トラウトマン大佐は、ランボーの実の親だった?!設定などを匂わしていたりするのが面白い。 アフガンでランボーに付いてくるゲリラの少年の役者は、かなり生意気で監督もスタローンもイラつくくらいに手を焼いていたらしい。 監督はこの少年に殺意が湧くと大人気ない事言っていた。 (ちなみにノベライズでは登場しない) 監督が役者に言及するのは少なく、スタローンやリチャード・クレンナを賞賛しているが、他の役者などには殆ど触れてないのは残念で、子役以外だと案内人のマーサ役のサッソン・ガーベイにも一言くらいなので、あまり演技に造詣深くない感じ カットされた場面では、ソ連の基地内で、アフガニスタン人女性への性的な暴行シーンも撮影していたが、直前でカットしたと解説している (解説なしでも女性の場面に不自然なカットがあるのは当時も気になっていた) 本作は当時の映画ゴシップでは、有名な話しですが、最初の監督は、PVやMV出身オーストラリアの俊英ラッセル・マルケイ(代表作はやはり『ハイランダー』かな)だったのが、スタローンと意見の相違で、撮影中に降板して、本作の撮影監督だったピーター・マクドナルドにチェンジした経緯は、ラッセル監督が、基地のソ連軍人エキストラにPV映えする感じの美青年ばかり起用して、揉めたらしい。 美青年ロシア兵は、前記した原作に当時するランボーと行動を共にする若いロシア兵捕虜の名残りかも。 ランボー搭乗する戦車は特殊にチューニングれており、かなりの高速移動が出来たとある(時速90キロ以上出るだったかな) ロケ撮影は、前半はイスラエルで、後半はアメリカの砂漠とのこと(イスラエル側が非協力的で変更したそう) 原作者の『ランボー3 怒りのアフガン』のノベライズは、作者の息子さんが十代(約15歳)で骨のガン亡くなり、彼に捧げてられており、生前に多忙なスタローンが息子さんに励ましての電話(30分以上)をくれたのに感謝していると述べていた。 次の日にその事が学校中に知れ渡り、しばらくヒーローになったらしい。 よ 余談たが『夜の大捜査線』でアカデミー賞を受賞した後も多くの話題作や娯楽大作を担当していた当時の売れっ子のスターリング・シリファントのもう一つの功績として『ランボー 一人だけの軍隊』の原作者でもあるデビッド・マレルは、学生時代にシリファントが、メイン脚本を担当したテレビドラマシリーズの『ルート66』の熱心な視聴者で、特にシーズン3のエピソードで、戦闘後遺症を負ったベトナム帰還兵を描いた話しが、印象に残っていて、デビッド・マレルが作家を志ざすきっかけになった。 その後にマレルはスターリング・シリファントへ、質問の手紙を出したところ、本人から長文の返信と激励を受けたのが、創作活動へのきっかけとなり、のちのランボーを執筆する際には、上記の帰還兵のエピソードを立脚点に泥沼化し始めたベトナム戦争に興味を持ち参考にさせてもらったと、作家の自伝アンソロジー集に記している。(早川書房 『ヒーローの作り方』 より) そう言えば、『ランボー』と『夜の大捜査線』の設定を思い起こすと田舎町に寄った凄腕のよそ者刑事と地元の警察署長の物語としてのネガとボジみたいな関係でマレルはこちらも意識していたのかも。