☆3.9
金大中の名前を知っている者なら彼が韓国大統領になることや、なった後のことを知っているだろう。 しかし彼は大統領になるまでの道のりで組織や権力に幾度となく弾き飛ばされる。傷つけられ、周縁化され、後ろ指を指される。それでも戻ってくる。命すら幾度… 続きを読む
金大中の名前を知っている者なら彼が韓国大統領になることや、なった後のことを知っているだろう。 しかし彼は大統領になるまでの道のりで組織や権力に幾度となく弾き飛ばされる。傷つけられ、周縁化され、後ろ指を指される。それでも戻ってくる。命すら幾度も脅かされる。しかし更に力をつけて戻ってくる。 権力者からの攻撃による死線を掻い潜り戦い続けた金大中を収めた膨大な映像資料の数々は、ドラマかと疑いたくなるほど劇的でグロテスク、かつ感動的な韓国の民主化までの道程そのものだ。 『KCIA 南山の部長たち』『ソウルの春』『タクシー運転手〜約束は海を越えて〜』『1987』を一つでも見た人には是非見てほしい。 《余談》 韓国の1924~1987年を取り上げた本作を観る前に、金大中が大統領になったのが1998年だと知っている人なら大統領就任前に終わることは予見できる。それでも、一作品として「えっそこで終わるの?」という尻切れトンボ感が否めなかった。 パンフレットで判明したのだが、そもそも金大中の足跡を辿るこのドキュメンタリーは全三部作の計画で作成されているそう。 しかし「次回に続く(ハングル表記・日本語字幕なし)」の一言で締められたのでは、連作の接続として粗末な上、一作品として完成されていない印象を受けてしまう。壮大で濃厚な韓国現代史の記録映像・証言の数々で占められていたからこそ、その安直さが悪目立ちしていたように感じられた。また、数回挟まれるテレビの再現ドラマのような映像も、当時の実際の映像・写真・音声の数々の中では陳腐かつ白々しく見えてしまうので無い方が良かったと思う。