偉大なるマリア・モンテッソーリ
starstarstarstarstar - 1年前
上映館少なく、危うく観損なうところだったが、観れて本当に良かった作品。
女性の地位が低く、学ぶことも仕事を持つことも自由ではなかった時代に、イタリア初の女性医師となり、ローマ大学附属精神病院の研究所で障害児たちの支援と研究を続けることで… 続きを読む
上映館少なく、危うく観損なうところだったが、観れて本当に良かった作品。
女性の地位が低く、学ぶことも仕事を持つことも自由ではなかった時代に、イタリア初の女性医師となり、ローマ大学附属精神病院の研究所で障害児たちの支援と研究を続けることで、人間というものへの普遍的な視座を獲得していったマリア・モンテッソーリ。
彼女が20世紀初頭、労働者階級の子供たちのための「子どもの家」を創設するまでの数年間を、彼女の考え方や仕事の様子、仕事とプライバシーの間で抱え込む深いジレンマや葛藤などと共に描き出す。
世間的には「障害児」と一括りされ、「お荷物」扱いされがちな子供たち。しかし彼女はそんな子供たちの心の内を観察の技法によってしっかりと見つめ、うまく自己表現ができない子供たちの言いたいことを汲み取るだけでなく、自己表現への道を教える。その温かな眼差しと子供たちへの深い愛情の偉大さ。
しかし時代は19世紀後半。社会が女性に課する締め付けは厳しく、仕事とプライバシーの間で彼女は深いジレンマに苦しめられる。研究所の同僚医師との結婚のこと。彼との間に生まれた子供のこと。乳母の元に預けてある自分の息子のマリオを引き取りたくて、繰り返し繰り返しマリアは思い悩む…。
パリから娘を連れてローマにやって来て、マリアの元で自分の娘が大切に扱われるのを見て、次第にマリアに感化されるようになってきたリリ。或る日リリは、マリアが無給でその献身的な仕事をしていることを知り、驚愕する。そして社交界に顔のきく自分の社会的立場を利用し、資力のないマリアをサポートし始める。(このリリという人物は、監督によるフィクションらしいのだが)対極にあるように見えるマリアとリリが協力関係になる物語進行は絶妙だ。
豊かな知性と豊かな愛情、加えて大きな勇気と強い忍耐力(医学部での解剖授業のエピソード!)。
社会的制約にも、そこから来る苦しみにも屈することなく、子供たちへの愛、世界への愛を、モンテッソーリ・メソッドとして後世まで残したマリアは、本当に偉大なひとであると思った。
共にいられない期間も長かった愛息子が、後にマリアに同行するようになり、マリアの死後はその後を継いでくれたというのも、彼女の愛が確かに伝わっていたからだろう。