犬にも心がある、理由がある
観終わって、立ち上がり歩き始めて思わずつぶやいてしまった。「なんてひどい映画だ…」。 スイスでの実話に着想を得て、フランスの女優である監督が原案、脚本、主演を兼任して制作した作品らしいのですが、動物に関する基本的な見識というものがうかが… 続きを読む
観終わって、立ち上がり歩き始めて思わずつぶやいてしまった。「なんてひどい映画だ…」。 スイスでの実話に着想を得て、フランスの女優である監督が原案、脚本、主演を兼任して制作した作品らしいのですが、動物に関する基本的な見識というものがうかがえず、ちゃんと勉強した形跡もなく、1匹の犬をただダシにしてドタバタ劇を繰り広げるだけ。 スイスの法律もひどいものながら、その題材を扱うこの映画の脚本、監督の手つきも、スイスの法律レベル以上のものではなく、あんな付け焼き刃の弁護で、本気で犬を救おうとしているようには到底見えない。スイスの実話を映画化するにあたっての、制作者たちの批評意識や怒りや覚悟のようなものが全く感じられないのだ。 動物を扱うフランス映画の無責任と身勝手さは猫映画(『ルー、パリで生まれた猫』)でも前例があるので、旧知のことではあったものの、またしてもこのような作品で、幻滅。 動物にも心があること、噛むのだって理由があること、動物の身になって考えること、なぜそんな簡単なことがなおざりにされるのだろう。 地球上の生き物の中で人間を頂点に位置付け、人間は人間以外の生き物を物のように扱っていいという、人間に噛み付いたら殺処分などという傲慢な世界観を、いつになったら人間は手放すのだろうか? 動物好きでないひとなら、こんな作品でも星3つ分くらい楽しめるのかもしれませんが、動物好きなひとには全くオススメできない作品でした。星ひとつにしなかったのは、コスモス役のワンちゃんのけなげな名演と愛おしさゆえ。