映画館を出た時に世界が違って見えたらいい映画。
starstarstarstarstar - 11ヶ月前
まずコレがズバッときましたね映画館を出た時に。持っていかれました何かを丸ごと。あれっいつもと違う場所にいると思ってしまった。通い慣れた映画館なのに。
魂のロードムービーと言っていいと思います。妹の、元嫁の、娘の、息子の、そして我々の。魂が… 続きを読む
まずコレがズバッときましたね映画館を出た時に。持っていかれました何かを丸ごと。あれっいつもと違う場所にいると思ってしまった。通い慣れた映画館なのに。
魂のロードムービーと言っていいと思います。妹の、元嫁の、娘の、息子の、そして我々の。魂が旅をしました。
はっきり言うとたぶん兄はほんとにろくでもなかった(今でも言うところの発達障害的なものだろうとは思う)。しかし誰にでもいいところはある。息子がパパを好きだと言った。これはその中でも大きなだひとつ。自分の中で整理をつけた。そういうことなんでしょうね。
死んだら死んでいるだけだ。というのは本当に人生の真理です。全ては生きている人のためのもの。これは悲しいけど真理です。そしてそれを恩着せがましくなく伝えられているところが素晴らしい。
素晴らしいと言えば、出てくる逸話がひとつひとつが思ったよりぐっとくる。
言った時は本気でも結果的に嘘になってしまう人とか。嘘が嘘ではなかった瞬間とか。そしてそれが説明的ではなくさりげなく遠回しに見えるところがまた何とも言えず、素晴らしい。
素晴らしいと言えば、ただ兄の人間性だけにフォーカスするのではなく、周囲の人間たちの人間性もきちんと垣間見れるところがとても良い。がっつり描くのではなくさりげなく垣間見れるのが、良い。
それぞれに自分の考え方があってそれに基づいての行動をしていると、声高に言える。きちんと血が通っているキャラクター作り。素晴らしい。
素晴らしいと言えば、画作り。誰があの何もないがらんとしたアパートであんなにも価値のあるシーンを作れるのか。普通に考えてできると思いますか。何にもない部屋と人だけですよ。何回も何回も同じ場所で。全然関係ないけどタランティーノの「ジャッキーブラウン」思い出した。デパートのしょーもない服売り場を何度も何度も行き来させてるだけなのにすごいシーンにしてしまったのとよく似てる。素晴らしい。
素晴らしいと言えば、これは一応コメディなんですよね。本当のコメディ映画ってただ茶化して笑うってものではない。人生を茶化すって感じですね。そして大事なのはサジ加減。バランスです。不謹慎だけど不謹慎に見えないバランス。うまくしてたと思いますが、そこはあんまり考えなかった。コメディとして見てませんでした。ジャンル分けは意味がなかった自分には。ジャンルを破壊するボーダレスな映画。素晴らしい。
素晴らしいと言えば…。もうどんどん浮かんでくるのでこの辺にしときます笑。
この世界が愛してやまない世界になる。
予想外
starstarstarstarstar - 11ヶ月前
題名や写真やらコメディ色が強い映画かと思いましたが^_^全く良い意味で裏切られました予想していた以上に深いストーリーで色々考えさせられました^_^
存在の軌跡
starstarstarstarstar - 12ヶ月前
※本文にネタバレがあります ネタバレを読む
支えであり、呪縛ではない。
突然亡くなった兄の軌跡を巡りながら"家族"を探す。
宮城から兄が亡くなったと一報を受け、兄の後始末をする4日間が始まる。届いていたメールはどれも金の無心で開いてすらいなかった。母に面倒を見てもらい世話になったくせに、いざ母が末期がんになると姿をくらませる。母の棺を前に大仰に泣き喚くが、人がいなくなったらタバコを吸ってステップを踏む。母を看取って喪主をした妹に香典をせびり、心底愛想が尽きた嘘つきの兄が死んだと聞いても涙ひとつもこぼれない。夫や息子の方が空気を読んで肩を落とし、お土産も買ってこないでと釘を刺さされる。
なぜか宮城に住んでいた兄をさっさと持ち運べるサイズにして早く帰ってこようと決意する。懸念は兄の息子の良一。もしかしたら自分が面倒を見ることになるかもしれない。不安を抱えたまま宮城に降り立ち、兄の元妻加奈子と娘の満里奈と合流する。喪服を忘れるくらいには気が抜けていて、兄の死よりも取調室や葬儀屋の手続きに関心が移る。
兄の家はものが散乱し、汚物が残された部屋は酸鼻を極めていた。そんなゴミだらけの家の中でも兄の痕跡が散らばっている。壁には満里奈の写真や家族4人で写った写真、小さい頃の兄妹の写真も飾られている。兄と甥っ子の生活を感じ取りながら一行は葬儀場へと向かう。
前髪の伸びた良一は俯きながら時間ギリギリに葬儀場へと入ってきた。久しぶりの再会に緊張と歓喜が入り混じる加奈子。収骨の時、良一に箸の持ち方を教える加奈子はすでに母親としての役割に就こうとしてるようにも見える。
兄が持ち運べるサイズになり、家を片付けに戻った3人はひたすらにゴミをまとめていく。最後のメールにあった転職に就くためと思われる履歴書には多くの資格と息子への配慮を求める記述が残されていた。兄が打算的に書いたその文章にも兄の気配が纏っている。
ゴミ集積所に兄への想いも放り投げて、遺されたのは骨だけになるはずだった。でも、これまでの兄の言動が嘘ではないと理子は気付き始める。結果嘘になってしまったけど、いつだって本気で言っていたと加奈子に言われたことで。
良一のもとへ向かう3人。車から降りず震える手で煙草を吸う加奈子は緊張していた。もしかしたら拒絶されるかもしれないという恐怖と戦っていた。兄が暮らしていた部屋で一緒に暮らしてでも良一を引き取ろうと考えていた。意を決して一緒に暮らそうと言うと良一は笑顔を見せて頷いた。面会後の煙草は至高の一本かと思いきや母としての新たな決意の不味い味だった。
最終日は良一と兄との思い出の地を巡ることになる。海沿いに立ち並ぶ赤と白のキリンを見ながら話をしたことを良一から教えてもらう。港町で育った幼少期が脳裏をよぎる。図書館のような施設で寝転びながら本を読んでいると、隣にいる理子の脚に自分の脚を乗せる良一からも兄の存在を感じ取る。
レストランで待っている間に恐る恐る理子になんで父は死んだのかと聞く。自分が友だちの家に行かなければ、あと30分早く帰っていれば、父は救えたのかもしれない。自責の念に駆られる良一を理子は擁護する。病院にもいけずまともな生活ができていなかったのに、役場の窓口では陽気な人であり続けた兄は自分のせいで死んだのかもしれないと理子も思っていた。私がメールを見て、ちゃんと向き合っていればと。でも、誰のせいでもない、これは運命だったんだよと良一に語りかける理子の姿は自分にも言い聞かせているようだった。
小さい頃、兄を羨んでいた。自分もオムライスが食べたかったし、母にもっと目をかけてもらいたかった。いなくなってしまえばいいと願っていたけど、思い返してみると、兄は優しかった。深夜になっても帰ってこない両親のもとへ妹を自転車のカゴに乗せて連れて行った。嘘でも妹を護ろうとしてくれていた。どこにも行かないように自分は兄をしっかり掴まえていたはずだった。
死んでからも理子の前に度々現れては軽口を叩いていた兄はスーパーで理子に別れを告げる。家族4人で食べた焼きそばの味を理子はよく覚えていた。いなくなってほしくないと幼い妹の声で懇願している自分がいた。
暮らした家を見ておきたいという良一の願いを叶えるべく、空っぽになった家に向かう4人。本当に会いたいと心から願えば現れてくれる。そう信じて一人ひとりが部屋へ入っていく。良一は浴槽に入り、トイレに座り、体育座りをしながら台所で特製焼きそばを作る父の背中を見守る。2人で暮らした日々をなぞりながら想いを馳せる。
そこにはもういない兄の、夫の、父の存在を確かめながら一人ひとり別れを告げる。時間が経っても兄の優しさは確かにあって、幸せだった時間も間違いなく存在していた。
4日が経ち、帰路へとつく4人。別れ際にお母さんと呼んだ良一を加奈子は強く抱きしめる。また家族に戻る。
理子も滋賀の家に帰り、改札を出ると2人の息子と脚を骨折した夫が出迎える。心配をかけまいと連絡しなかった夫に対して、嘘をつかないでと言い泣きもたれかかる理子。理子にとって家族とは嘘をつかない関係であって、嘘つきだと思っていた兄が決して嘘つきではなかったと理子は4日の間に気づいていた。給湯機が爆発したことも、募金をしてお金がないことも、良一にピアノを習わせたいことも全部嘘じゃなかった。
理子にとって、兄もまた家族のひとりだった。
持ち運べるサイズになった兄をリビングダイニングに招いて理子は母として妻としての家族を生きていく。
最後に兄の後始末をした4日間は本になり、みんなの元へ届いた。
新幹線を降りる時、加奈子から兄の過去を美化させないよう補足がされたが、決して兄はいい人間ではなかった。息子に500円で亀を売ったり、知らぬ間に借金をしていたり、金にだらしなく、身体より酒を優先していた。
そんな兄のエッセンスはみんな少しずつ入っているようにも感じられて、理子が新幹線のシートの隙間から分骨しちゃうのは思わず笑ってしまった。人によっては直接遺骨を手渡しするのが抵抗ある人もいるだろうなと思うけど、中野監督らしいシーンだった。
雑に扱われても仕方がないくらいには迷惑をかけていたし、気軽にそばにいてほしい存在であることの証明でもあったように思う。
中野量太監督とオダギリジョーのタッグは湯を沸かすほどの熱い愛以来2作目とのことだが、中野監督の書くダメ男を演じられるのはオダギリジョーしかいないと思えるほど、自然体でハマっている。ダメ男だけど優男のオダギリジョーは彼の妻や娘や妹をこれでもかと輝かせる力があるからズルい。
中野監督の作品は感動して涙がこぼれる次の瞬間には笑ってしまうような作品が多いように思う。本作でも、加奈子が片付いた部屋に上がった時、吹き出したと思ったら純白のタキシードを着てる兄が映って、その瞬間なぜか涙があふれてしまった。何もない部屋とのミスマッチが兄の不在を強烈に印象づけたからなのか可笑しいのに涙がこぼれてしまった。
登場人物の心が揺れ動く中で見ているこちらも笑って泣いて、なんだか清々しい気持ちで拍手で包みこまれた劇場を後にした。
いい映画だった。充足感のある映画だった。
あと、舞台挨拶のオダギリジョーかっこよかった。
何てことない話を
starstarstarstarstar - 11ヶ月前
このタイトルを思いついて映画にまでもってく力技。観客を呼び込む力もあるのか。原作は「兄の終い」。生前は寄り付きもしなかった実妹と元妻が、骨になった男を懐かしむ話なんだが「死んだ人を悪く言う人はいない」という典型のお話。思い出は美しい幻想。
… 続きを読む
このタイトルを思いついて映画にまでもってく力技。観客を呼び込む力もあるのか。原作は「兄の終い」。生前は寄り付きもしなかった実妹と元妻が、骨になった男を懐かしむ話なんだが「死んだ人を悪く言う人はいない」という典型のお話。思い出は美しい幻想。
思いやりと人情は、生きている人間にこそ示したいものである。
オダギリジョーも、キムタク同様にいつも同じような「飄々とだらしないが憎めない」という役ばかりで、新しい演技への挑戦はしないのだろうか?
この監督は、映画的な嘘の上手い人で、ラスト近い新幹線駅での柴咲コウの家族と「家族なんだから嘘はつかないで」のセリフこそ嘘くさい。しかしそのあたりに、観客の期待と願望を虚構として仕上げて見せて出すプロの技。
それこそが中野監督の魅力なのかもしれない。
この程度
starstarstarstarstar - 11ヶ月前
この程度のことならそうかな、
兄が借りて闇金から電話がきたり、大切な物を質屋に入れられて、
この上、両親も
とはいえ、亡くなると心はざわめく
それは普通の人だから
迷惑な人々は
仕方ないだろうと片付け、良い人になる。
人当たりもいい、
でも迷惑なだけである。
綺麗事の物語