江戸時代の長屋に流れる時間に
starstarstarstarstar - 1年前
思いを至らせる時間となった。某nhkの「べらぼう」は、豊富な制作予算にモノ言わせて45分間に次々と高価なゲストが入れ替わり立ち替わり、目まぐるし現れては消える。それとは対象的な長屋の北斎親子である。
西暦だけがクレジットされて、時というよ… 続きを読む
思いを至らせる時間となった。某nhkの「べらぼう」は、豊富な制作予算にモノ言わせて45分間に次々と高価なゲストが入れ替わり立ち替わり、目まぐるし現れては消える。それとは対象的な長屋の北斎親子である。
西暦だけがクレジットされて、時というより、年輪の経過が現代人にもわかり易い。北斎演じる永瀬正敏の老け方には凄味があり、良く見ておくべき美粧と演技である。三味線の師匠さんの篠井英介もホントに弾いてるなら、相当の訓練したと思う。登場人物も多くはなく、大きな場面展開もないが、一つ一つのセットの出来あがりは優れて、外ロケシーンは選び抜かれている。
何よりも2人の絵に対する情熱。言葉少なくべらんめえでありながら、親娘に互いを思いやり。心に残る良作であると思う。
しかしこのダジャレのタイトルは、
何とかならなかったのだろうか?とは思う。
思った以上の作品
starstarstarstarstar - 1年前
ここ数年、江戸文化に触れることが多かったが、どうしても大河ドラマのように見せるための脚色が目立つものが多かったと思う。そんな中で本作は余分な脚色が少なく、北斎と応為の微妙な距離を上手に表現していた。何より興味深かったのは実際には顎が長くおそ… 続きを読む
ここ数年、江戸文化に触れることが多かったが、どうしても大河ドラマのように見せるための脚色が目立つものが多かったと思う。そんな中で本作は余分な脚色が少なく、北斎と応為の微妙な距離を上手に表現していた。何より興味深かったのは実際には顎が長くおそらく美形では無かったらしい応為を演じた長澤まさみのイメージギャップだったが、着物の着崩れ感や手先の汚れなどで絵師応為を見事に演じており、心配は杞憂だった。同じように北斎を演じた永瀬正敏の老けてゆく姿も見ものだった。この2人の演技を見るだけで価値を感じる。
ただただ美しい長澤まさみ
starstarstarstarstar - 1年前
静かな映画。そして、どの場面でもただただ美しい長澤まさみ。
映像として『影』を主役にした光を描くことにチャレンジしているのか、面白い光と影のコントラストの場面が沢山あって印象的でした。
ストーリーに起伏はほとんどなく、退屈に感じられる方もいるかと思いますが、じんわりと心にしみる何は残ります。寺島しのぶさんの抑制の効いた演技と篠井英介さんは流石で、出演時間以上の存在感ありましたね。
浮世繪女兒/Hokusai’s daughter
starstarstarstarstar - 1年前
幕末まであとわずかという時代に、出戻りでやさぐれながら道を探し、父と同じ浮世絵に秘めた情熱を注いだ応為。画狂老人と称した北斎を横に見、父をガサツに扱いながらも揃って絵を描いている姿には父娘愛よりも絵を共通項にした同志という趣があるし、恋愛沙… 続きを読む
幕末まであとわずかという時代に、出戻りでやさぐれながら道を探し、父と同じ浮世絵に秘めた情熱を注いだ応為。画狂老人と称した北斎を横に見、父をガサツに扱いながらも揃って絵を描いている姿には父娘愛よりも絵を共通項にした同志という趣があるし、恋愛沙汰もあっさりと済んでしまうサバサバ感が心地よい。同じ長澤出演作でも『MOTHER』でのスキャンダラスさとは全く対照的で、ぶっきらぼうな優しさを感じて、しみじみ良い気持ちになった。暗くても静かでもそれをネガティヴには感じない。劇中にも登場する応為が描いた吉原の光と影を捉えた絵のようなムードがあって、こういう時代劇だって素敵なものだ。
素直にI'm sorry
starstarstarstarstar - 1年前
自分のやりたいことができない時代。
腐って実家に戻る出戻りの娘。そこからスタート。1番下。失敗からの出発。
キャンセルカルチャーとしての側面はある。
またジェンダーによる差別も大いにある。時代背景がもうまさにそうなのだが、女性が蔑まれてきた… 続きを読む
自分のやりたいことができない時代。
腐って実家に戻る出戻りの娘。そこからスタート。1番下。失敗からの出発。
キャンセルカルチャーとしての側面はある。
またジェンダーによる差別も大いにある。時代背景がもうまさにそうなのだが、女性が蔑まれてきた時代。女性がその力を発揮するにはもうとんでもなく最悪の環境だ。
そしてこの応為はかなり特殊でもある。葛飾北斎の娘。それでもそこはあまり強調はされてなかったけど(まあそれは強調はされない時代という意味かもしれない。良いも悪いも。今ならば親の七光りで得したりまた逆に足枷にもなろうもんだが)。
それでも生きる。
ある側面では、親子喧嘩したり失恋したり花火見たりお菓子食べたり。そう見るとあんまり今と変わらんなあと思ってみたりもする。
まあこんな感じで、深読みするといろいろ背景は例えられようなもんだが、ズバリこの映画の魅力を一言で伝えたい。
「応為=長澤まさみ」。
これに尽きる。なんともまあなんて可憐な女の人だろうか。可憐とは見た目のことだけではない(顔立ちがそうであることが誤解を与える)。
男勝りで肝っ玉が座っており勝ち気でありながら、信じたものには純粋で素直。
父親との罵り合いはいくところまでいくが、こと絵に関しては、素直に助言に従う。それまで散々悪態をついていたのが、急に「はい」と従った場面。これははっとしました。
さらにキセルの灰で絵を汚してしまった時は素直に「ごめんなさい」と言った。
気持ち良く「はい」という返事と素直に「ごめんなさい」と言える人間に悪い人間はいない。
また歩き方や立ち方、その佇まいからも清廉潔白さが滲み出る。なんて魅力的な人物なんでしょうか。長澤まさみの人間性に依るものではないかと推測いたします。
彼女の一挙一足に釘づけになりました、
PS.また出た奥野瑛太。地味に邦画の底上げを担う男。見事な侍像。依頼にやってくる奴ね。与えられた役の与えられた任務を完璧にこなす。監督が観客に与えたいと思った効果を完全に果たしたと思う。これぞプロフェッショナルと思います。