退屈…
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クベーラ 日本で公開されるインド映画特有の格差や富の不均衡といった重いテーマを真正面から扱った社会派作品だが、その問題意識の強さとは裏腹に、映画としての面白さは驚くほど乏しい。 全体を通して感じるのは、決定的な“山場”の不在だ。物語は終始、低いテンションのまま淡々と進行し、登場人物の葛藤や状況の変化もどこか観念的で、感情の高まりに繋がっていかない。観客としては「いつ物語が動き出すのか」と待ち続けることになるが、その期待が裏切られたまま終盤に突入してしまう。 インド映画だから当然なのだが、約3時間という長尺も、この単調さをさらに際立たせている。本来これだけの時間があれば、複数の転換点や感情の波を用意できるはずだが、本作にはそれがほとんど存在しない。結果として、時間の長さは作品の厚みではなく、単なる“退屈さの持続”として体感されてしまう。インド映画に長尺作品が多いことを考慮しても、本作はそのフォーマットを活かしきれているとは言い難い。 そして最も厳しいのがラストだ。積み上げてきたはずのテーマや人物の葛藤が、クライマックスで大きく昇華されることはなく、印象としては拍子抜けに近い。観客に問いを投げかけるタイプの結末とも言えるが、それ以前にドラマとしてのカタルシスが欠けているため、「考えさせられる」よりも「何も起きなかった」という感覚が残ってしまう。 本作が提示する「富とは何か」「その裏で何が犠牲になっているのか」という問い自体は決して軽いものではない。しかし、そのテーマを映画として体験させるための起伏や演出が不足しているため、結果的に観客の記憶に残るのは問題提起ではなく、長さと退屈さだけになってしまう。 テーマと映画的快楽の乖離。そのズレこそが、本作の最大の弱点だと感じた。