絵画のような美しさ
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実は軋轢があった。と語る当時を知る人々。でもトムの表情から、不満や否定は見て取れない。うまくいかないセッションがあっても、それはのちに生み出すだろう奇跡的な瞬間への、軌跡なのだと。 天才の仕事って、おおむねそうである。 それは、ずっと後に野心的な女性記者のインタビューを受けた時でも同じ。外野はスキャンダルが知りたいだけ、芸術家は作品にたどり着く道筋を知っている。その姿は、初めての原野でも生きていく為の糧をまるで悩まずに手に入れてしまう嗅覚の鋭い狼のようでもある。 この映画の語り方だと、エリスの自殺さえトムの責任のように見えてしまうだろうが、おそらく違うだろう。 ラストの2人のセッションのフルコーラスは美しい絵画を見るようで凝視してしまう。音楽の絵画(ミュージックピクチャー)であり貴重な瞬間の証拠である。