物語の物語を物語る
この映画は「物語」の持つ強さを力説する。3人3様のさとこは、それぞれに「物語」に取り憑かれた過去を持ちもしくは現在進行形で、最終的には同じものを語ることに辿り着く。 しかし重要なのはそこではない。その過程だ。 3人に共通して言えることは「楽… 続きを読む
この映画は「物語」の持つ強さを力説する。3人3様のさとこは、それぞれに「物語」に取り憑かれた過去を持ちもしくは現在進行形で、最終的には同じものを語ることに辿り着く。 しかし重要なのはそこではない。その過程だ。 3人に共通して言えることは「楽しそうに書く」。それぞれに書くシーンはよく映されるが、それが実に楽しそう。心底楽しそうに書いているのが印象に残った。「物語」の持つ力を信じてるんだなあと。 物語を信じてると言えば「マッドマックス」シリーズとかで敢えて物語を神話として語ってく感じとかそれこそ「アラビアンナイト三千年の願い」は物語の物語を物語で語ったりする感じとかに似てるなあ。 全然テイスト違うけどジョージミラーの如く。 「物語」は真実でも嘘でもいい。そこに感動が生まれれば。同じような映画があったなあと思い出せば、ああ「ビッグフィッシュ」。ティムバートンも「物語」の力を相当信じていた。あれはどうしようもなく嘘つきの父親を認められなかったが最後には嘘かどうかはどうでもいいとなり父親と和解する話。 全然テイスト違うけどティムバートンの如く。 3人のさとこは、それぞれに個性的だがなぜか共通点はあり、同じ1人の人物であるかのようにも見える。実際に似たような仕草や過去を持っていることがさりげなく告げられる。同じではないことは明らかである。時々クロスオーバーするし。不思議な感じ。わざとか。わざとなんだな。突拍子もないところでいきなり繋げる目配せあり。思い出したのは「ロストハイウェイ」。あさっての方向へ進んでいった話が、最後むりやりオープニングとつなげた。 全然テイスト違うけどデヴィッドリンチの如く。 沖田修一監督の映画は、自然だ。 会話劇が、そのやりとりが本当の日常の一コマのように見える。舞台挨拶で高校生のさとこちゃんが言ってたけど、沖田組の本読みは独特で、普通はただ座ってみんなで本を見ながらセリフを言い合うだけだそうだが、ジェンガをしながらとかトランプをしながらとかでセリフを読み合うらしい。なるほど。だから自然の動きの中で自然な言い方の感覚を掴めるのか。 そんな自然な感じと言えば、実際に起こった事件でヒーローになった3人の若者をそのまま演者として演じさせた「15時17分、パリ行き」があった。自然というかそのまま(笑)。もう役者にさせるのは嘘くさいから本人たちがやればええやんとそんな領域まで辿り着いた監督。 全然テイスト違うけどクリントイーストウッドの如く。 いろんな監督のいいところが思い出されるので、そんなたくさんの楽しい映画を紐付けて思い出させてくれる映画は、最高の映画の証です(いやしかしこれは個人差がありますね。少なくてもこんなにもたくさん接点を感じられた自分はこの映画と抜群に相性がいいのでしょう勝手な解釈でごめんなさい)。 それにしてもネブライザー(耳鼻科て使うヤツ)を鼻に突っ込んだアップから始まる映画は前代未聞だ(笑)。そしてここからの展開が沖田監督っぽくて好き。 ネブライザーがどれだけ似合うかというオーディションをやったというのが面白過ぎる。 最初はわからんかったけど、あれ、筒井道隆やないか。いいお父さん。で、妻が石田ひかりって昔懐かしドラマ「あすなろ白書」のその後か(笑)。にんまりと嬉しくなった。 なんかまとまらなくなってしまった笑。 物語が物語を呼び起こして物語だらけになってしまいました。悪しからず。