33年ぶりの『月光の夏』――仲代達矢氏と無名塾の魂が紡ぐ、終戦記念日に見直したい名作
新文芸坐にて毎月特集が組まれている「役者・仲代達矢 銀幕の軌跡」にて、『月光の夏』を鑑賞しました。 上映終了後は、仲代達矢氏が主宰する「無名塾」出身で本作の主演を務められた若村麻由美氏のアフタートーク(聞き手:春日太一氏/映画史・時代劇研究… 続きを読む
新文芸坐にて毎月特集が組まれている「役者・仲代達矢 銀幕の軌跡」にて、『月光の夏』を鑑賞しました。 上映終了後は、仲代達矢氏が主宰する「無名塾」出身で本作の主演を務められた若村麻由美氏のアフタートーク(聞き手:春日太一氏/映画史・時代劇研究家)も実施されました。 公開当初以来、約33年ぶりの鑑賞となります。 本作は、太平洋戦争末期に出撃前の特攻隊員が学校のピアノでベートーヴェンのピアノソナタ第14番「月光」を弾いたという実話(一部創作)を基に制作されました。 映画化に際しては、九州を中心とした市民・企業・団体から1億円近くの募金が集められた作品です。 仲代達矢氏は、戦闘機のトラブルで特攻を免れたものの、生き残った自責の念を抱え続ける元特攻隊員・風間役を演じています。 過去の影を引きずりながら生きる姿を、情感たっぷりかつ重厚に表現されていました。 また、渡辺美佐子氏、山本圭氏、田村高廣氏、内藤武敏氏、高橋長英氏、滝田裕介氏、花沢徳衛氏といったベテラン俳優陣がしっかりと脇を固め、大作映画並みの深みと厚みを醸し出しています。 若手陣では、若村麻由美氏をはじめ、無名塾同期である田中実氏、永野典勝氏がフレッシュでありながらも、無名塾で鍛え上げられた確かな演技を披露しています。 特に田中実氏は、2006年『ウルトラマンメビウス』のサコミズ隊長役でも子どもたちに広く親しまれ、さらなる飛躍が期待されていた矢先の2011年、44歳という若さで亡くなられたことが悔やまれてなりません。 演出面においても、神山征二郎氏(監督)の手腕が遺憾なく発揮されています。 特にエンディングからエンドロールへと続く「月光」の音色は、映像と音楽が見事に融和しており、思わず涙がこぼれ落ちます。 アフタートークでは、若村麻由美氏から無名塾時代から最近に至るまでの仲代達矢氏との貴重な思い出話も伺うことができ、大変充実した一日となりました。 毎年、終戦記念日の時期に改めて見直したいと感じさせる名作です。