さよなら丸の内東映で2
ひどいストーリーである。しかし、萬屋になる前の中村錦之助が、先祖歴代の7エピソードを演じ分けており、多くの観客は若き日の錦之助の七変化を楽しめる仕掛けとなっている。ところは救いだし、岸田今日子、佐藤慶、加藤嘉、三田佳子、西村晃。往年の大物俳… 続きを読む
ひどいストーリーである。しかし、萬屋になる前の中村錦之助が、先祖歴代の7エピソードを演じ分けており、多くの観客は若き日の錦之助の七変化を楽しめる仕掛けとなっている。ところは救いだし、岸田今日子、佐藤慶、加藤嘉、三田佳子、西村晃。往年の大物俳優の素晴らしい演技は見ものであり、昭和映画史の金字塔。 〈以下ネタバレと考察〉江戸時代の食い詰め浪人が、君主に召し抱えられ俸禄を得る所からこの悲劇は始まる。その道は昭和のサラリーマン道まで地続きだという、今井正の日本人論は世界で評価されて、ベルリン映画祭グランプリ(金熊賞)に輝く。しかし、武士道はサラリーマン道とは根本的に違う道であり、鎌倉か戦国時代からこの話をはじめたのなら全く違う話のはず。世情が動かない江戸からだから成立した話。それとドイツ人を始め外国人に世界で台頭しはじめたエコノミックアニマルの底辺部の精神性を説明するのに都合の良い解釈。しかし本物の武士と武士道に失礼千万。この国辱的映画が、東映の長い歴史の中での唯一のベルリンのグランプリ。されどもこんな話とはねぇ、残酷な話である。