木下恵介監督の確かさ
昨日『惜春鳥』を観たときも歌謡映画かと思ったが、 本作はフラメンコ歌謡映画と喩えても間違いでもないよう な感覚。 本作の公開が昭和36年。 この感性、やはり木下恵介監督、恐るべし! これだけの人々の人生を的確な脚本と演出で、この短い尺 で… 続きを読む
昨日『惜春鳥』を観たときも歌謡映画かと思ったが、 本作はフラメンコ歌謡映画と喩えても間違いでもないよう な感覚。 本作の公開が昭和36年。 この感性、やはり木下恵介監督、恐るべし! これだけの人々の人生を的確な脚本と演出で、この短い尺 で濃縮できるとは。 しかも鑑賞後の余韻はあまりにも重い。 それぞれの人生を、愛憎劇と言って簡単に片づけられるか といえば、それだけでもない。 人は単純そうに見えて、複雑過ぎて、何が何やら分から ない。 その分からない人生の、憎しみと赦し。 五章にある道の描写が秀逸であった。 佐田啓二はもちろん素敵だが、仲代達矢の貫禄も凄い。 (さすがデビュー当時から存在を評価されていたのも頷け る演技。) 高峰秀子、乙羽信子、生命力がみなぎっている。 本作に圧倒され、しばし言葉を失った。