恋多き女
あらすじ
ルノワールらしい、少々デタラメな恋愛喜劇の秀作。バーグマンの芝居がウィットを欠くので、その野放図な良さが伝わりきらないが、後段など彼にしか表せない愛の讃歌となって、フランス人の恋愛至上主義をいぶかしく思う人も抵抗はできまい。美貌のポーランドの公爵未亡人で自由を満喫していたエレナは世話人の男爵夫人に製靴業で財を成したミショー氏を紹介され、結婚するよう言われる。彼女は関心なしだが、夫人の娘のドゥーニーズは氏の愚息ウージェーヌにお熱となった様子。が、彼はエレナの女給のロロドに夢中である(この、いわば下々の者の恋のさや当てがエレナたちの恋愛遊戯と対比して生き生きと描かれるのは、「ゲームの規則」でもおなじみのルノワールのタッチ)。おりしも、名将ローランの閲兵式の最中、見物に出て知り合った侯爵アンリ(ファーラー)は、エレナをローランに紹介。彼を大統領に立てようとする自分の政略に、彼女を利用しようと考える。ローランには同じく貴族未亡人のエスコフィエが付きまとうが、ヒナギクを贈って幸運をもたらすエレナに興味津々である。共和派と独裁派、ローランをめぐる争いは熾烈で、その思惑がお色気に搦み取られて、郊外のローランの隠れ家でドタバタと繰り広げられる段は傑作。そこへアンリに流し目を送るジプシーの歌姫--黒髪が印象的なJ・グレコが、その髪の色に託して夜を謳うバラードを口ずさむと、あら不思議、ローラン万歳とそこに詰めかけて彼の外出を阻んでいた群衆はうっとりと恋のムードに染まり、ジプシーに化けてそこを逃げ出した彼の身代わりに窓際に立って歓呼に応えるアンリとエレナにつられるようにキスを交わし始めるのである。グレコが芸人たちをとらえ歌い出す瞬間の演出は素晴らしい。J・マレーの生真面目なユーモアが印象的。
キャスト・スタッフ
- 監督
- ジャン・ルノワール
- キャスト
- イングリッド・バーグマン/ジャン・マレー/メル・ファーラー/マガリ・ノエル/ジュリエット・グレコ/ジャン・リシャール/ミシェル・ナダル/ピエール・ベルタン/サンドラ・ミーロ/ジャン=クロード・ブリアリ/ジュリアン・カレット/ジャック・カトラン/グリゴリ・クマーラ ほか
- 配給
- 東和
クチコミ
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