静かな狂気か白昼夢か
いつも聴こえる不協和音は心の声。 果たして小夜子は本当に「海斗」という人物に惹かれたのか。 ただ単純に鬱屈とした世界からはみ出たかっただけなのではないか。 空っぽの譜面に描くメロディを探しているだけなのではないか。 家族想いのようで何処か自… 続きを読む
いつも聴こえる不協和音は心の声。 果たして小夜子は本当に「海斗」という人物に惹かれたのか。 ただ単純に鬱屈とした世界からはみ出たかっただけなのではないか。 空っぽの譜面に描くメロディを探しているだけなのではないか。 家族想いのようで何処か自分勝手な夫と思春期の娘の間で、妻であり母であることが彼女の世界になってしまったことへの焦燥感。 我儘に振る舞い、好きな服で着飾る若い美容師の恋人。 それぞれが脆く弱く物哀しさを滲ませているせいか 小夜子だけが狂っているようにも見えなかったのは 意図的だったのだろうか。 ただひとり、海斗は小夜子に苛立ち、時に感情を堪えきれない場面もありつつ、常にニュートラルで優しい。 彼はその優しさが人を傷つけることに傷つく姿が 特に印象的だった。 登場人物の誰の視点で観るかで大きく感じ方が変わる作品だと想う。