芳醇な味わい
泥と汗にまみれる地味な生き方を嫌う息子。何より家族でワイン造りをすることに生き甲斐を感じる父親。一家の危機は倒産というかたちで決定的になる。 私に出来なかったことが二つあると告白する父親のつぶやきで、彼の心中にわだかまる息子への思いが語ら… 続きを読む
泥と汗にまみれる地味な生き方を嫌う息子。何より家族でワイン造りをすることに生き甲斐を感じる父親。一家の危機は倒産というかたちで決定的になる。 私に出来なかったことが二つあると告白する父親のつぶやきで、彼の心中にわだかまる息子への思いが語られる。実は彼自身も若かりし頃の自分の父親との葛藤があったことが、この物語に深みを与えている。 また隣家の娘の生き方も描かれて、抜き差しならない関係性をもたらすことになる。 ワイン造りに試行錯誤する過程と、人間関係の織りなす物語がまさにタペストリーのようで、それ自体が芳醇な味わいとなっている。 伝統のワイン造りがどのように行われているのか全くわかりませんでしたので、大変興味深く拝見しました。 観劇後は、美味しいワインを一本空けたような気分にさせてもらいました。