演者によって違う顔を見せる作品
まずエンジニアのジョンジョンとキムのエヴァが本当に素晴らしい。 美しく計算し尽くされた音楽とそれに絶妙に合う人間の汚さが出る歌詞。 初演時とは細かい部分の歌詞や、音楽も変わっているけれどそれが凄く良かった。 特にラストのキムからタムへの歌で… 続きを読む
まずエンジニアのジョンジョンとキムのエヴァが本当に素晴らしい。 美しく計算し尽くされた音楽とそれに絶妙に合う人間の汚さが出る歌詞。 初演時とは細かい部分の歌詞や、音楽も変わっているけれどそれが凄く良かった。 特にラストのキムからタムへの歌では初演時ではI’d give my life for youベースだったが、25周年公演ではトゥインの死んだシーンであるThis is the hourがベースになっていてこちらの方がタムの命は多くの人の犠牲によって繋がれているということを考えさせられるシーンに仕上がっているように思える。 ミスサイゴンの見所はやはり対比に尽きると思う。 I still believeのクリスを思う二人の掛け合いでは クリスと二人で綺麗なベットの上でクリスの心にある誰かを想い気が気でないエレン、一人ぼっちで薄汚い地面で月を見てクリスの帰りを疑わずに待ち続けるキム。 ラストのクリスから唯一もらった形見とも言える銃で命を絶つキム、タムを抱きかかえあやすエレン。 キムが命を絶つシーンは、ブイドイでありこれからベトナムで生きるには道がなく、クリスの人柄を信じているからこそ自分が死ねば身寄りのない自身の子を引き取らないはずがないと思うと、タムの為に彼女ができる最善策がこれしかないので、この作品のベースになっている蝶々夫人よりも主人公の自死に対する理解が容易かと思う。