無題
作品通してのメタファーとなる“魚”化してゆく主人公。魚化が進行していくにつれ、社会からの疎外が激化していくストーリーテリングは、いくらコミカルな描写を挟み込まれても哀しみ以外のなんでもなかった(笑ったけど)。ただこの魚男の一件は、就職難や学… 続きを読む
作品通してのメタファーとなる“魚”化してゆく主人公。魚化が進行していくにつれ、社会からの疎外が激化していくストーリーテリングは、いくらコミカルな描写を挟み込まれても哀しみ以外のなんでもなかった(笑ったけど)。ただこの魚男の一件は、就職難や学歴社会などの社会情勢としっかり平行していて、意外にも韓国版「何者」か?と思うような要素がチラッとうかがえたり‥。個人的にはこの魚男、世間に紛れ込むために衣服をまとっているときの姿が異様におぞましい。なに1つ身につけずバスタブに浸かる姿を見てほっとしてから、いっそ海に放流して自由にしてあげたいと感情移入が高まっている自分が居ました。彼はただただ普通の人間になりたかっただけなのに。未完の“自分”に対して生きる意味が欲しかっただけなのに‥と思うと、この作品の主要人物たちにとどまらず、自分の居場所を探してもがいている人間なんてこの世にいっぱい存在するわけで。自分ももちろんそんなことを考えることはしょちゅう。年齢だけは大人になってもしょっちゅうな訳です。そこがきっとこの作品のほっとけないところ。そんな思いを巡らせながら見守っていたので、Google Earthを引用したような描写のラストシーンには心から安堵しました。