ロックスターという仕事、そして宿命
仕事帰り、レイトショーでやっていたのでふらっと鑑賞。…のつもりが、強烈な余韻の残る映画だった。 物語は彼らが若い時代を過ごした渋谷の小さなライブハウスから始まる。観客のいないそこで演奏する4人の姿。そして去年の再結成ライブ初日の熱狂へと場… 続きを読む
仕事帰り、レイトショーでやっていたのでふらっと鑑賞。…のつもりが、強烈な余韻の残る映画だった。 物語は彼らが若い時代を過ごした渋谷の小さなライブハウスから始まる。観客のいないそこで演奏する4人の姿。そして去年の再結成ライブ初日の熱狂へと場面は移り、やがてメンバーやスタッフそれぞれの語りを挟みながら2016年の一年間を辿る。 20代の私はイエローモンキー世代ではない。ロックバンド全盛期の90年代に猛烈な光を放って消えていったたくさんのバンドの一つ…というイメージしかなかったのだが、思わず涙しそうになる場面が何度もあった。 物語はたしかに「よくあるバンドの復活劇」だ。でも、どこか淡々としている。「素晴らしい一年間の総まとめ」ではなく、あくまでも今、現在進行系の彼らの、生身の男、職業人としての葛藤が、おそらくロックスターとしては見せたくないような部分までも克明に映し出されている。 人生で何かを選び取ること、手放すこと、働くこと、誰かと共にいること、そして一人の人間として生きていくことを、考えさせられた。 吉井和哉の美貌が変幻自在に変わるのもなかなかすごかったが、他の三人のメンバーの魅力もすごい。そして何よりライブシーンの迫力がものすごい。 アリーナ、武道館、ライブハウスと様々なステージを一気に見たわけだが、どこにいても、イエローモンキーはそこに立つために生まれたかのように演奏する。たいして曲も知らずに見て楽しめるのかと少々不安だったが、どメジャーでアッパーなシングル曲も、おそらく初期の曲だろうサブカル感のある耽美な曲も、演奏されるとその世界に引きずり込まれるような熱量があり、これは90年代を生き抜いたロックバンドの底力だなあと感動してしまった。このライブシーンをいい音響で観られただけでも、映画館で観た価値があったと思う。 THE YELLOW MONKEYというバンドはもう、業のようなものなのだろう。それは吉井和哉にとってだけでなく、他のメンバーやスタッフ、ファンにとっても。 去年ニュースで彼らを見て、解散したバンドなのに「再結成」ではなく「再集結」と言っている理由がよくわからなかったが、この映画を見て納得した。「家族」というキーワードが何度も出てきたが、血の繋がりが振りほどけないように、天職であり、逃れられない運命であり、磁力のようなもの。何度でもそこに帰ってくる場所。 二時間と少し、ドキュメンタリーなのにどこか幻のようで、それはロックという音楽そのもののような気がした。 願わくば60代、70代になった彼らの姿がまた見たい。