ノスタルジーに酔いしれる
まるで白昼夢のようにノスタルジーを感じるスローな映像と、常に流れるクラシックの名曲のおかげで作品全体がα波のよう作品だった。 今までのトラン アン ユン監督の作品で特徴的だったアジアの湿気が漂う生々しい感じとはまったく異なり、ヨーロッパ特有… 続きを読む
まるで白昼夢のようにノスタルジーを感じるスローな映像と、常に流れるクラシックの名曲のおかげで作品全体がα波のよう作品だった。 今までのトラン アン ユン監督の作品で特徴的だったアジアの湿気が漂う生々しい感じとはまったく異なり、ヨーロッパ特有の乾いた空気の中でゆっくりと流れる午後の微睡みのような世界観を魅せられて、またもや彼の中にある無限の美意識に触れることができた気がする。 ため息がほどの美しい女性たちの多幸感のある家族のひとときも喪失という恐怖と孤独感が繰り返される、人間の営み。 エピソードを重視するのでは無く、数珠繋ぎのように流れる家族の物語を見つめたような珍しい視点で描かれて、語り部が母から娘、そして嫁といつのまにか代わっていき、やはり人生とは愛する人を見送ることなのだと思い知らされる。 私は作品の中でなんらかの形で美しいと思えるシーンやセリフ瞬間があるとその作品の内容がどうであれ高評価になりがちなのだけれど、そういう意味でいえばこの映画はもうお腹いっぱいになってしまうくらいに自分の心に触れるシーンが沢山あって、全カット全部写真集かポストカードにして好きな時に眺めたいと願うほどの息を飲むような映像たちばかり。 マチルド役のメラニー ロランの女神のような美しさやガブリエル役のベレニス ベジョのエキゾチックで知的な美女ぶり、そして中でもマチルドの少女時代を演じた子役の妖精のような可愛さには悶絶してしまい、キャスティングの美的感覚もかなり良かった。 当たり前だけど私にも母がいて、祖母がいて、曽祖母がいて、それぞれの積み重なる日々を淡々と繰り返す先祖たちの営みから今の私につながっている。 そして私も皆もeternity(永遠)の中の一員なのだということを今一度噛みしめた作品でした。