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サルカール 1票の革命 ポスター

サルカール 1票の革命

4.3 162分 2019/9/6(金) 公開
PG12インド
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あらすじ

不正投票された1票を取り戻し、腐敗した政治に挑む選挙ドラマ。

場面写真

キャスト・スタッフ

監督
A.R.ムルガダース
キャスト
ヴィジャイ/キールティ・スレーシュ/ヴァララクシュミ・サラトクマール ほか
公式サイト
https://imwjapan2019.com/

クチコミ

☆3.5

- 3年前
「〇〇に政治を持ち込むな」 「〇〇の政治利用だ」 俳優や歌手、漫画家、小説家、スポーツ選手といった著名人が政権を批判するとこんなコメントがSNSに現れる。 そもそも創作者が作品にメッセージを込めることは創作の一部で、政治家が創作物を政治的な… 続きを読む

「〇〇に政治を持ち込むな」 「〇〇の政治利用だ」 俳優や歌手、漫画家、小説家、スポーツ選手といった著名人が政権を批判するとこんなコメントがSNSに現れる。 そもそも創作者が作品にメッセージを込めることは創作の一部で、政治家が創作物を政治的なキャンペーンや人気取りに使うことを「政治利用」というのだが。 「政治や社会に文句を言うのはやめて、推しのことでも考えよう。自分のできることを一生懸命やっていこうよ」などと前向きで「良い子」なコメントも出てくる。 社会と関わっている以上、あらゆる個人的なことで政治と繋がっていないものなどない。特に、戦争でも経済危機でもパンデミックでも、まず切り捨てられる「不要不急」が映画をはじめとしたエンタメや文化芸術だ。そういった業界を生業にしている人たちとそのファンこそ政治や社会に意識を向ける必要がある。有名人やそのファンを何も考えるべきではない、または考えていないかのように扱う態度は、ひとりの大人であり有権者である市民の力と権利を舐めている。 ASIAN KUNG-FU GENERATIONのボーカル、Gotchの2019年12月17日のツイートを思い出す。 「どんな名曲を作れたとしても、世の中の多くのひとが、それを聴く余裕すらないほどに社会が貧しいのならば、それはまったく意味のないことだと俺は思う。だから、社会をよりよくするために、ひとりの市民として、言葉を発する。それは責務だと思う。」 しかし不条理で腹が立って愚かで滑稽で水に流してはいけないことでも、大概のことを人は忘れる。まして政治家の不祥事や責任者の言い訳や逃亡など、自分の人生に余程密接にかかわってこない限り日々の忙しさと大量の情報に押し流されてすぐ忘れてしまう。強固な既存政党の地盤を一瞥して、自分ひとりが投票したところで変わらないからと投票に行かないどころか目先の端金に釣られて権力のおこぼれにあやかろうとする。 そんな有権者に対して序盤のスンダルは、「一票を取られて黙っている者は妻を寝取られて黙っているのと同じ」と言い放つ。(※有権者は夫や男だけじゃないが?) 「同じことを言い方を変えたら反応が変わる、これぞマーケティング」と結局半数の人を愚かだと飄々と言い、「指一本触れさせません」と宣言したボディーガードを笑うなど、どことなく軽薄で自らの力をひけらかすような態度だ。 しかし借金で命を絶つ一家がいる一方で貧困を放置する既存政党の腐敗に怒り決意した彼は一変する。拳を突き上げ民衆を鼓舞する姿は真摯で演説は徐々に熱を帯びていく。 本作は選挙制度があるだけでは既存政党への実質の白紙委任になってしまう現行の「民主主義」の問題点を指摘するとともに、今まで無関心・無気力だった有権者たちが選挙に参加することで真の民主主義を実現しようと挑む姿を描く。 無力だと思い込まされ続けた有権者へ力と矜持を取り戻せと呼びかける「大将」のエールを聞きにタミルナードゥ州選挙へ赴いてみては。 《余談》 一方で本作に対して批判したい点はいくつも存在する。 まず、初出馬、初挙党、初選挙活動で選挙結果に劇的な変化をもたらしてしまうご都合感。そして、何より投票で大切な「たとえ自分が投票した候補が落選したとしても“終わり”ではない」ことを伝えていないことだ。選挙はむしろ新たな「スタートライン」にすぎない。一度の投票の結果、怒りと落胆で投げ出すのが最適解ではないことを伝えなければ、「自分の一票じゃ変わらない」「応援したってどうせ勝てない」と言っている人の継続的な投票には繋がらない。 結局選挙とは、台湾のデジタル大臣であるオードリー・タンが例えるところの 「4年か2年おきにたった数ビットの情報を送受信するデータ速度の遅い通信(TBSラジオ『アシタノカレッジ』2021年8月24日インタビュー) であり、選挙だけで自分の意見が社会へ反映される可能性は極めて低い。 署名、デモ、議員への陳情、パブリックコメントへの投書、活動している人への支援など、選挙以外の政治・社会参加の方法も見つけてできることをやっていくしかない、という面にも触れてほしかった。 次に人物面だ。物語としてヒーローの存在は重要だ。だが自分の意見を100%実現してくれる救世主は現実にはまず存在しない。同時に、応援・期待している政治家をつい崇め奉ってしまう危険性について触れないと「こんなリーダーがいてくれたら良いのに」で終わってしまう。 更に、スンダルとコマラヴァッリ以外はほぼ全員がガヤのような人物描写の薄さを指摘したい。故郷をより発展させよう、人々の暮らしを守ろうと志して現与党に籍を置くも、いつの間にか腐敗に呑まれる者、党内の権力者に物申して失脚させられる者、自分が権力を持ったら頑張るなどと詭弁を弄して立身出世を優先する者などがいれば、無能で悪徳な既存政党VSクリーンな新党という単純な二項対立の構図に収斂せず、権力構造を変えることの難しさや、善悪の判断のつく普通の人が権力者の片棒を担ぎ、結果的に民を虐げることに加担してしまうやるせなさを描けたのでは。 また、タミルナードゥに生きる人々がそれぞれに立場やポリシー、しがらみ、葛藤、生活など様々な要素を勘定に入れて現状の社会があるのだと具体的に描写をすることで、観客に登場人物との共通点を感じさせ、単なる鑑賞者ではなく当事者として巻き込むことができたのではないだろうか。 なお、実は貧しく葬式をする費用もない家庭出身だったスンダルなら借金苦で自死する人、公共の場で事故に遭うも保障を与えられない人、それを放置する政治の不備など、ここ5年で急に現れたわけではない実体験として知っていると思うのだが、なぜ「今」なのか疑問に感じた。 ≪本作の影響/背景≫ ① 選挙法49Pによる「一票を取り戻せ運動」を取り上げた本作のヒットとメディアでの注目度の高さを受けて、インド選挙管理委員会は成り済まし投票をされた場合本人による投票のやり直しができることを呼びかけた。 ② 主演のヴィジャイはタミルナードゥ州出身で汚職防止法制定を訴えるハンストへの参加や、本作のサウンドトラック発表会で腐敗した政治システムにただ乗りし続ける政治指導者や汚職、選挙制度について批判をしている。2021年には社会福祉団体「VMI(Vijai Makkal Iyakkam,2009年設立))」の121人が州第9地区に出馬し、DMK党、AIADMK党に次ぐ得票率を得て議席を獲得している。 ③ 主人公のスンダル・ラーマサーミがCEOを務めるGL社は恐らくGoogleのこと。Google及び親会社のAlphabetのCEOはスンダル・ピッチャイ(この方もタミルナードゥ州出身) ④ ヴァララクシュミ・サラトクマール演じるコマラヴァッリはAIADMK党所属でタミルナードゥ州元首相のJ・ジャヤラリター氏の本名。このせいで「彼女の名誉を侮辱した」として批判されたり、AIADMK幹部が上映館前で抗議活動が起きたりした。 (字幕翻訳:大西美保)

鮎 ネタバレ

全人類に見てほしい

- 6年前
※本文にネタバレがあります ネタバレを読む

自分の持つ一票を大事にしなきゃ!!と心底思わせる作品でした。 「貧困は私たちの飯の種だ」と言う腐敗しきった人たちの台詞に驚きと怒りが沸いてきたけど、きっとこういうことはこの国でも起きているだろうなと思いました。 この作品の中では「貧しくさせて飢えで苦しませて、目先の飯を買うお金のために票を売らせる」ようにしているとも言っていて、どんどん格差が広がっていくこの国でも、いずれ起こることのような気がして恐怖を覚えました。 「国民のできる最低限の行動が投票だ」という台詞も改めて、うっかり投票日を忘れてしまうこともある自分への戒めとして刻み付けておきたいです。

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