血風ヤクザオペラ
昭和21年広島県は呉市、戦後の無秩序から言わば必然のように生まれた暴力。山守組とその周辺で巻き起こる「広島抗争」を描いた任侠作品。 実在した元ヤクザの美能幸三が獄中で記した手記を基にしている。 任侠映画でありながら、ヤクザを決して美化する… 続きを読む
昭和21年広島県は呉市、戦後の無秩序から言わば必然のように生まれた暴力。山守組とその周辺で巻き起こる「広島抗争」を描いた任侠作品。 実在した元ヤクザの美能幸三が獄中で記した手記を基にしている。 任侠映画でありながら、ヤクザを決して美化することはなく、社会悪として映し出した実録物の先駆け的作品でもある。また、『ゴッドファーザー』の世界的ヒットに背中を押され、映画化が加速したという話もある。 仲間を裏切り裏切られることでしか生きられない若者たち、この表現が最も似つかわしい。 監督は、後年に『バトルロワイヤル』でも名を馳せることとなる深作欣二。 主演は広能昌三を演じた菅原文太。声がとにかく渋い。当初は渡哲也が主役を務める予定であったが、熱海にて病気療養中であったため、当時ほとんど無名であった菅原が最終的に主演となった。坂井のてっちゃん役の松方弘樹が後年バラエティで見せたお茶目な一面が垣間見えるシーンは必見。狡猾で臆病な山守組組長を演じた金子信雄の怪演も最高。そのほか、梅宮辰夫、田中邦衛、渡瀬恒彦、伊吹吾郎と昭和を代表する名優達がずらり。深作監督による、これまでのスターシステムを廃した大部屋俳優たちの起用が功を奏し、彼らは名を挙げていったのだった。 1973年の一作目から、1976年の3年間で、実に8本ものシリーズが驚異的なスピードで制作されている。それほどまでのヒットであった。 また、脚本家という存在が脚光を浴びるきっかけになった記念すべき作品でもあり、シリーズの大半において脚本を手掛けた笠原和夫の功績は計り知れない。 生半可な知識では書き表せないほどの日本映画史に残る大作ということなので、とりあえず全作を観てみることにする。