☆4.6
「あんたアイヌ?」 生まれ育った自分の国で「あんた日本人?」と初対面で問われた和人はどれだけいるだろう。 「日本語上手ですね」「…勉強しましたから」 アイヌなのにアイヌ語講座を受けるのは何故か。大切な儀式の祝詞もカンペがないとできないのは何… 続きを読む
「あんたアイヌ?」 生まれ育った自分の国で「あんた日本人?」と初対面で問われた和人はどれだけいるだろう。 「日本語上手ですね」「…勉強しましたから」 アイヌなのにアイヌ語講座を受けるのは何故か。大切な儀式の祝詞もカンペがないとできないのは何故か。彼らから言葉も土地も遺骨も奪ったことも、その謝罪もなされていない事実も知らずに無邪気に「観光客」でいられる和人。この問題点をたった二言、ともすると疑問に思わず流されてしまいそうな会話で表した脚本に脱帽。 カントと中学生バンドを組むメンバーの一人は言う。「アイヌ語を入れるとアイヌとしてしか見られなくなるじゃん」。そんな自分のルーツに魅力と共に反発も覚える次世代の若者に、アイヌの文化と精神を伝えはするが、強制はしない大人たち。 なお、カントとエミは実の親子。物語ありきではなく、そこにある現実として実際に生活する人々をモデルやキャストに起用し、その人々にどれだけ物語を近づけるかを徹底的に追求した監督の姿勢がどこまでも誠実。アイヌという存在を美化せず、生活や儀式を神秘的でスピリチュアルな存在に寄せず、現代を生きる若者から年配者まで多くの人がいる“人間[アイヌ]”の考えと選択として描いたところがとても良かった。 《余談》 海外版Netflixだけじゃなく日本版Netflixも配信してくれ。