彼らが持つ可能性をもっと信じ
※本文にネタバレがあります ネタバレを読む
横浜アバック座にて試写会鑑賞。 自閉症の息子ウリとその父アハロンの親子関係を描いた作品。 昨秋同じイスラエル映画で自閉症の息子と父の姿を描いた「靴ひも」が公開されたが靴ひもとは異なり今作は自閉症の息子ウリにスポットを当てるのではなく父アハロンの心情にスポットを当てた作品であった。 物語はウリが施設に入所の手続きを始めるところから始まる。アハロンは施設に入れることを拒みウリにも入所を嫌がるように促す。 しかし裁判所命令が出てしまいアハロンはウリを連れて家を出て海外逃亡を目指して旅に出る。 しかし旅先ではうまくいかない事が続く。ウリ自身も慣れない環境から発作を起こしてしまったり、決して裕福な家庭環境でない事から早い段階で資金が尽きてしまう。 最後はウリが無断で売り物のアイスを食べてしまいそのアイス売りのスタッフとアハロンが喧嘩を起こして身柄を拘束される。 身柄を拘束された事によりウリは施設行きとなった。 入所当初はウリも施設でトラブルを起こしてしまうが、アハロンが連れて帰ろうとした際にウリ自身が施設に滞在する事を望みアハロンは理解して作品が終わる。 アハロンはウリの事を誰よりも愛しているのは終始伝わる。ただその愛が強すぎるが故にウリを束縛し彼の可能性を奪ってしまっている。そして何よりアハロン自身の可能性や幸福までも手放してしまってるのだ。 もちろんまだまだ社会がウリのようなハンディを抱える人たちが生きやすい社会とはいえない。ただこの作品でいえば周囲が理解しようとしてる人もいる中、アハロン自身が迷惑になると決めつけウリをそして自分自身も社会から隔離する方向に進んでいってしまう。 高収入の仕事を辞めたり、弟夫妻が歩み寄ったり金銭的にせっかく手助けしようとしても断ってしまったり等所々自分自身を苦しい立場に追い込んでる姿が見受けられる。 最後のシーンでウリが自動ドアをうまく入る事ができない障害を自分自身でその障害をコントロールしてる姿が写された。 この姿がこの作品で1番美しいシーンである。 アハロンが思ってる以上にウリは社会に溶け込む事ができ、そして色んな可能性を秘めているのだ。 心配性もそうだが、アハロンは中々子離れができない。そうなると同時にウリもまた親離れができず互いに成長できず歳だけ重ねどんどん社会からかけ離れてしまう。 この作品で感じさせられるのは子供の成長、可能性を信じることの勇気や大切である。 もちろん今作ではウリがハンディを抱えている為より慎重に描かれていたが、そこにはハンディの有無は関係ないようにも思えた。 もちろんウリのようにハンディを抱える息子を持つアハロンが慎重になり過ぎる心情も十分理解はできる。 ただ親はいずれ子供より早く先立ってしまう。 子供を持った経験はないが、なにか親目線で作品を鑑賞し、信じる勇気や大切さを温かい気持ちで考えさせられた。