重い、辛い、でも素晴らしい演技
親も若く現実として話にシンクロできない人や、お金払ってまで重い話を観たくない人は行かなくて良いと思う。 しかし、お金払ってまで観る価値のある、素晴らしい映画。 認知症の映画は数多くあれど、観てるものを静かに混乱させて、認知症擬似体験のような映画は類を見ないと思う。 若いカップルが「介護のお手本映画みたいな感じかな」と軽口を叩いており、若いって羨ましいとしみじみ。
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老いによる喪失と親子の揺れる絆を描いた作品。ロンドンで独り暮らしを送る81歳のアンソニーは記憶が薄れ始めていたが、娘のアンが手配する介護人を拒否していた。そんな中、アンから新しい恋人とパリで暮らすと告げられショックを受ける。だが、それが事実なら、アンソニーの自宅に突然現れ、アンと結婚して10年以上になると語る、この見知らぬ男は誰だ?なぜ彼はここが自分とアンの家だと主張するのか?ひょっとして財産を奪う気か?そして、アンソニーのもう一人の娘、最愛のルーシーはどこに消えたのか?現実と幻想の境界が崩れていく中、最後にアンソニーがたどり着いた真実とは……。
©NEW ZEALAND TRUST CORPORATION AS TRUSTEE FOR ELAROF CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION TRADEMARK FATHER LIMITED F COMME FILM CINÉ-@ ORANGE STUDIO 2020
親も若く現実として話にシンクロできない人や、お金払ってまで重い話を観たくない人は行かなくて良いと思う。 しかし、お金払ってまで観る価値のある、素晴らしい映画。 認知症の映画は数多くあれど、観てるものを静かに混乱させて、認知症擬似体験のような映画は類を見ないと思う。 若いカップルが「介護のお手本映画みたいな感じかな」と軽口を叩いており、若いって羨ましいとしみじみ。
素晴らしい映画だったが、見たあと少し後悔した。 少し先の将来、同じ状況に陥ると思うと救いがなかった。 認知症を介護する側が描かれることは多いが、 今作のように認知症の当人視点で観客も混乱していくような映画はあまりない。 腕時計が無くなったり、同じ会話をしたり、 知らない男が当たり前のように家にいたり、 娘の言っていることが何度も変わったり、 自分の家がどこかわからなくなったり、 次女に似たヘルパーが別の人に入れ替わったり、 そして、最後には自分がわからなくなる。 徐々に知的で紳士的な自分が崩れていき、 誰かが嘘をついているのか自分の記憶が嘘だったのか 当惑している姿は見ていて苦しくなる。 真実の中に虚像が混じることで何が真実かは観客には全くわからない。もちろんそれはアンソニーも。 介護疲れも高齢者虐待もとても身近に潜む問題だと思う。 アンソニーのチャーミングな受け答えに笑いが起きるシーンも多かったが、後半に進むに連れて事態はより深刻になり最後は涙が出てくる。 悲しみとか可哀想とかではなく、 これまで気高く生きてきたであろうアンソニーが 退行して母を呼ぶ姿にとても悔しさを感じた。 これが決して映画の中だけではなく自分の両親や自分自身の行く末だと思ってしまうと絶望感に押しつぶされそうになった。 そう強く感じさせる演技に言葉を失った。 有効性はまだわからないが アルツハイマーの新薬が光明となることを切に願う。
予告で描かれている通り主人公のアンソニー演じるA.ホプキンスが認知症に苦しむ作品である。ただこの作品の特徴的なのはアンソニーの認知症を第三者視点で描かれるのでなくアンソニー視点で描かれている。その為観客であるこちらも何が何だかわからないシーンが中盤は続く。分からないシーンに対して理解しようと強く進むと逆に沼にハマってしまい訳が分からなくなる。 最後のシーンでアンソニーは数週間前から施設に入り生活をしている真実が伝えられる。 そこで観客側もそしてアンソニー自身もこれまで描かれていた出来事の殆どが幻想だという事を知る事となる。 そこでアンソニー自身が自分の病気を強く気づいてしまい「なにがなんだか分からない」と泣き崩れる。このシーンはとてもグッと来るシーンでありこちらも自然と涙した。 この最後の「なにがなんだか分からない」というアンソニーと同じ気持ちを非常に共感できるからこそ僕自身も涙したのだが、この作品はこの最後の言葉の為に冒頭から描かれていた事を強く実感され感心させられた。 第三者から視点から見る認知症患者の作品はこれまでいくつか見てきたが認知症患者視点の作品は新鮮味がある。 第三者から認知症患者を見ると可哀想だとか理解してあげようとする気持ちが強く芽生えるが、患者視点でみるとそういう事よりも不安や絶望感が強く抱き没入すればするほどこちらもソワソワした不安感を強く抱いてしまう。 僕の亡くなった祖父なんかも最後の方は物忘れはそれなりにあったがこういう作品を見ると認知症にならず最期を迎えることは本人そして周囲にとってはとても幸せな事だったと実感させられる。 ただ自分自身そして両親をはじめまだまだ先の話とはいえこれから老後を迎えるのは避けて通らない道である。 認知症に限らず人は老いれば物忘れは多かれ少なかれ通る道である。 そんな時にこの作品を見たことを思い出すことになるだろう。そんな時をもし迎えてしまった時にはじめて迎えるのと、作品を通して擬似体験し迎えるのでは一歩目が大きく違うのではないか。 そんな事をしみじみ感じさせてくれる作品であると同時にA.ホプキンスの見事な演技に魅了された。個人的には今年見た作品の中でベストクラスに心に響く作品であった。
この作品ほど主体的な視点で、認知症にアプローチした映画を私は知りません。 患者目線。でありながら患者本人の、恐怖に怯える表情も容赦なく描写する。 誰かの介護という視点でなく、自分目線で体験するので、年老いた先に待つ恐怖を突きつけられた思い。 ただ、 ラストにあるように、絶望の先に安らぎがあるのだ(と信じたい)。
5/23 TOHOシネマズ海老名 アンソニー・ホプキンスといえば、いつ何時でも紳士たれという印象。 以前の代表役であったレクター博士。作品は「ハンニバル」だったか一人でテラス席でランチを取った後にスッと口を付けた後のグラスを拭き取る所作に男でもうっとりした記憶がありました。 本作でも認知症が進行した男性という難しい役どころにも関わらず、佇まいは実にジェントルマン。そこに老いからくる必然的なチャーミングさも加わり、魅力に磨きがかかった気がします。 オスカー男優賞は文句無しといった感です。 本作は日本でも橋爪功さんが演じた有名な舞台劇。 クライマックスまで認知症側からの視点で描かれているのが斬新で、サスペンスかとも見誤る程。 あっという間にエンディングでしたよ。