『ミッドウェイ』豊川悦司、海外で活躍する日本人俳優に感銘　R・エメリッヒ監督らのビデオメッセージも

2020年9月11日

映画『ミッドウェイ』公開初日トークイベントが11日、都内・スペースFS汐留にて無観客で行われ、豊川悦司、國村隼、リモートで浅野忠信が参加した。

未曾有の戦いとなった第二次世界大戦の中でも、歴史を左右するターニングポイントとなった激戦として知られるミッドウェイ海戦。『インデペンデンス・デイ』のローランド・エメリッヒ監督が、日本の運命を決した歴史的海戦を20年に及ぶリサーチを経て鮮明に描く本作。キャストには、エド・スクライン、パトリック・ウィルソン、ルーク・エヴァンス、豊川悦司、浅野忠信、國村隼、マンディ・ムーア、デニス・クエイド、ウディ・ハレルソンら日米の実力派俳優が集結した。

日本軍の実在する将校を演じた豊川（山本五十六海軍大将）、浅野（山口多聞少将）、國村（南雲忠一中将）。今作への参加に、豊川は「最初にお話をいただいた時、正直びっくりしました。歴史上の素晴らしい人物を演じることを、自分の中では全く見出せなかったので」と話し、しっかりと役作りに励んだという。

浅野・國村をはじめ大勢の日本人キャストとの共演に「海外をベースにお仕事をされている日本人の俳優さんがたくさんいらっしゃることに驚きました。夢をもって、生活を懸けて厳しいフィールドで仕事をしている同業者をみて、すごく感銘を受けました」と豊川。続けて、「緊張感のあるシーンばかりですが、浅野さんがいて國村さんがいて本当に楽しくて安心してできました」と笑みをこぼした。

浅野も、豊川・國村との共演に「日本とは全く違う環境ではありましたが、ほかの共演者含めてとても新鮮でした。（豊川とは）昔から共演させていただいていたので心強かったです。先輩がきちんと先輩の役を演じてくれたので有り難かったですね」とコメント。國村は「3人が一緒の撮影現場にいるとハリウッド映画を撮っている気がしない（笑）可笑しな感じがしましたね」と現場は和やかな雰囲気であったことを明かした。

また、日本映画との違いについて豊川は「スタジオ、クルーの数…一つ一つがスケールがあって大きいなと感じました」とコメント。國村は、パワフルな水柱を発生させる特殊効果機材に驚いたようで「甲板で水柱のしぶきを浴びたんですが、まぁ痛いこと痛いこと（笑）本当にびっくりしました」と笑顔を見せた。

イベントでは、ローランド・エメリッヒ監督とパトリック・ウィルソンから日本公開を祝したビデオメッセージが上映。パトリック・ウィルソンは「この映画は日米両方の視点を大事にしている作品だ。アメリカと日本の海軍を丁寧に描き、これまでにない戦争映画が誕生した。日本人俳優の活躍は本当に素晴らしかったと思う」とコメント。

ローランド・エメリッヒ監督は「この映画を撮る時、僕が重要視したのは日本軍を単なる“敵”ではなく、“人間”として描くことだった。戦争映画で人々を描くときに、ただの敵という描写はよくない。彼らは任務を遂行する人々だ。ミッドウェイ海戦について学び、非常に感銘を受けたことがある。それは日本人の気質だ。特に日本軍の人々というのは実に高潔な人々の集まりだった。これは大事なことだから本当は直接お話ししたかった」と話す。

続けて、豊川ら日本人俳優について「たくさんの日本映画を観ていたら、豊川悦司という俳優が目に留まった。彼の起用については驚いた人も多かった。素顔の彼に軍人の雰囲気はない。だが、悦司にはとても知的な雰囲気があり、高貴さを感じさせる俳優だから山本五十六海軍大将役にぴったりだ。本当に素晴らしい仕事をしてくれたよ。浅野忠信という俳優はアメリカ映画で観て知っていた。彼の起用は早くから決めていたよ。國村隼という俳優も自分の役を完璧に演じてくれたね」と絶賛した。

豊川は「嬉しいですね！監督はじめ製作陣が日本の観客の反応をものすごく気にされていて。ミッドウェイ海戦を題材とする以上、日本側をどうセンシティブに描くか、彼らにとってとても大きなチャレンジだったと思います。それは出来上がった映画を観て感じることが出来るので、彼らのチャレンジは成功したのではないかと思います」とコメントした。

最後に「戦争の記憶は史実の中のものにしかなっていないように感じます。この映画を通して、かつて日本が犯した過ち、戦争を起こした人間の過ちを、記憶として想いとして受け取っていただければと思います」と國村。浅野は「世界中の人が手を合わせて映画を作れることに感謝したい。どうか楽しんでください」、豊川は「楽しさや悲しみ、笑いや痛さなど映画からたくさんのことを学んできました。1人でも多くの方がこの映画で何かを感じていただけたら嬉しいです」と挨拶し、イベントを締めくくった。