映画の街と言われた青梅に約50年ぶりに映画館「シネマネコ」がオープンする（緊急事態宣言等の影響で、オープン日は未定。今後の予定はシネマネコの公式SNS等で決定次第、告知）。映画・ミニシアター好きのためのコミュニティ「ミニシアタークラブ」では、ユーロスペースの北條支配人が、様々な映画館の方と対談、取材している。今回は、シネマネコ をオープン準備されている菊池康弘に話を伺った。
北條氏、シネマネコへ来館した感想
北條氏「木造建築の木の香りが心地よく落ち着きますね。エントランスの誰でも入りやすい温かな雰囲気から、劇場に入ると素晴らしいスクリーン、7.1chの最新の音響システム、高い天井、座り心地のいい椅子、とにかく、約80年前の木造建築と最新のシアターの共存に驚きました。木造建築をもとに映画館を作るのは、現行の建築法、消防法などに照らし合わせると大変だったんではないでしょうか？」
菊池氏「そうですね。設計チームが常に審査機関と設計段階から折衝しひとつひとつクリアしていきました。しかも、誰も映画館建築に携わったことがないので、大変でしたが楽しそうに取り組んでくれました。また北條さんをはじめ様々な映画館の方に相談し助けていただきました。劇場の椅子なんですが、新潟・十日町シネマパラダイスさんから譲り受けたんですが大切に保管されていて状態も素晴らしいです。元々イメージしていた色とも偶然一致して感激しました。」
北條氏「ユーロスペースを作る時も、設計士の方が、『人生でこうゆう仕事をするのは1回か2回か。面白くてしょうがない』と言ってました。」
菊池氏「天井も、建物の梁が見えるようにしていたりと、木造建築物の見学だけでも価値がある建物になってます。」
シネマネコ設立の経緯
菊池氏「10年ほど前から地元青梅に映画館を作りたいという思いはありました。「映画の街」と言われながらずっと映画館がなくて誰もやらなかった。3年前にこの建物と出会いました。もともと青梅は繊維工場が多くこの建物も国の有形文化財で繊維組合所有の建物なんです。」
北條氏「ちなみに、シネマネコという名称の由来は？」
菊池氏「青梅は繊維の街で、養蚕、蚕がいて、それを狙うネズミがいました。その退治用でネコが多かったというのを知って命名しました。」
北條氏「反応はどうでした？（笑）」
菊池氏「はじめは、「ん？」という微妙な反応でしたが、今は覚えやすいと地元では定着してきたと思います。（笑）」
準備を始めてから周囲の反応は？
菊池氏「はじめの頃は、『本当に映画館を作るんですか！？』と反対はされませんでしたけど半信半疑といった反応が多かったです。ただ、ひとりひとりに根気強く話していくうちに応援してくれる人も増えてきました。今も、まだオープンしてないんですが地元の方が散歩がてらに様子を見にいらしゃってくれます。」
苦労したこと・資金面など
北條氏「進めている中で、苦労などは？」
菊池氏「ん〜、自分は判断を求められる側で、『やるか？やらないか？』となったら答えはいつも『やる！』でして、じゃあどうやって具体的にやるかスタッフたちが大変だったと思います。資金面については、約1億円かかってるんですが、その大半を国の助成金、あとは自己資金とクラウドファンディングなどでやってます。おかげさまで クラウドファンディングの方は無事目標金額500万円を達成することができました。みなさま、ありがとうございました！！」
今後について
北條氏「今後のビジョンについてお聞かせください。」
菊池氏「地元の人には、遠くの映画館に行かなくても仕事や学校帰りに寄ってもらえるような生活に密着した映画館になればと思ってます。地元以外でも近くに映画館がない方々にぜひ足を運んでいただきたいです。
また、ブックカフェを併設しているんですが、ここは映画を見なくても利用可能でみなさんの居場所になればいいかなと。都心ではクリエーター向けのワークショップなどあるかもしれませんが、ここにはないので、カフェでそう言ったワークショップの実施も考えてます。さらに地元の商店街と連携してグルメマップの共同制作やシールラリーで映画のチケットを配布なども準備中です。」
シネマネコ
東京最西端に誕生予定の青梅市の映画館。国の有形文化財である織物工場をリノベーションし準備中。今後のオープン予定は下記HP、SNSにて告知予定。
HP：https://cinema-neko.com/
Twitter：cinemaneko_jp
