怖いですよ!この『ゲゲゲ』覚悟して観るべし
starstarstarstarstar - 2年前
いや、思ってた以上に「ホラー」でした。
元々水木先生の原作が怪奇路線から始まった作品ですが、それを上手い具合に大人向けの映像作品に仕上げてありました。
レイティング(視聴年齢制限)自体はPG12なのですが、もっと上の制限でもおかしくないの… 続きを読む
いや、思ってた以上に「ホラー」でした。
元々水木先生の原作が怪奇路線から始まった作品ですが、それを上手い具合に大人向けの映像作品に仕上げてありました。
レイティング(視聴年齢制限)自体はPG12なのですが、もっと上の制限でもおかしくないのではないかと思わせる映像で、大人でも結構脳裏に残る恐怖表現でした。
ただそれは本来『鬼太郎』作品に内包されているモノなので、そこをある程度理解した上で観られる事をオススメします。
陽気な妖怪ヒーローアニメと思って観に行かれるとヤケドするかもです。
ですが、それが分かった上で観ると、ホラーありミステリーありサスペンスありバトルあり等々と見応えある作りになっていてダレた所はありません。
謎解きやオチの部分もしっかりしているので大人の鑑賞にも耐えます。
鬼太郎作品の割には妖怪が活躍する場面が少ないですが、返ってこの作品にはこれ位で良いのかも知れません。
最後も原作の「鬼太郎誕生」にしっかり結び付けた終わり方なので心地良く席を立てます。
全体的に完成度が高く、私が観た今年の映画では今の所一番良い様に感じました。
昭和っていいよね。
starstarstarstarstar - 2年前
※本文にネタバレがあります ネタバレを読む
昭和31年を舞台に、行方不明の妻を探し哭倉村へやってきた鬼太郎の父と血液銀行に勤める水木の”妖怪”と”人間”のバディムービー。
まるで犬神家の一族のような異様な雰囲気を醸し出す哭倉村という地方の閉鎖的なコミュニティと、妖怪のコラボが見事に見事にハマっていると共に、戦争帰りで血液銀行勤務といった時代設定がリアリティを生む背景が個人的には抜群であるように感じます。
昭和の漫画は”デビルマン”然り”サイボーグ009”然り時代背景が上手く内容のダークさに合う印象が強いですが、本作も例に漏れない想像以上の深さがありますね〜
ホラー感はあまりなく、前半部が描く村の因習などはサスペンス感強く作り込まれていて入り込みやすいように感じましたし、後半部に繋がる人間性であったりドラマ性を上手く演出していたように思います。
個人的には現代的になったアクションシーンや完全に詰んだ状態からの起死回生に、思わずムムッとなった感は否めませんが、アニメ的な要素も多く飽きずに見られます。
関俊彦演じる鬼太郎の父が絶妙な味を出していて妖怪らしさが滲み出ていたし、ねずみ男が出てくれたおかげで鬼太郎サイド感がアップするし上手い役回りを演じています。 何より野沢雅子演じる目玉のオヤジは出番が少ないのにインパクトを残してくれますね〜
鬼太郎たちの出番はほとんどないですし、そこまでシリーズのファンというわけではないですが、十分に楽しめるし理解できる、そして何より誕生秘話にたずさわれる嬉しさと社会問題と伝奇のMIXによって色々考えさせられる良作であると感じます。
愛情と憎悪と正義と私欲と
starstarstarstarstar - 2年前
※本文にネタバレがあります ネタバレを読む
表と裏、包み隠さず全部描いている。鬼太郎誕生以前に、こんなにも残酷で愛に満ちたストーリーがあったとは。母と2人の父の愛に、目頭が熱くなった。
戦中戦後の水木しげる自身の体験や心理も反映されていて、食い入るように見入ってしまった。龍賀一族が次々と残虐な死を遂げる様子は単なる誇張ではない。水木しげるが戦中に幾度となく目撃した、人間の無意味な死の延長にあるのだと思った。ゲゲゲの鬼太郎は、ファンタジーでありノンフィクションであると、改めて感じた。
この映画は、ぜひぜひ大人に見てほしい!
原作漫画や平成初期のアニメを思い出して、とても懐かしくなった。現代の子どもたちにも妖怪と人間が共存する様を見て知ってもらえるように、令和版アニメを希望!
☆3.2
starstarstarstarstar - 2年前
ヒロインは、なぜ殺されるのか。凝り固まった女の役割の再生産と正当化が繰り返される。鑑賞後しばらく言語化できない火種の様なわだかまりがずっと残っていた。
キービジュアルを見た瞬間に周囲のオタクたちが一目で魅了されたという主役二人の姿。(わか… 続きを読む
ヒロインは、なぜ殺されるのか。凝り固まった女の役割の再生産と正当化が繰り返される。鑑賞後しばらく言語化できない火種の様なわだかまりがずっと残っていた。
キービジュアルを見た瞬間に周囲のオタクたちが一目で魅了されたという主役二人の姿。(わかる)
彼らの関係と考えの変化。
(「相棒」と言い切るほどの共闘感はなかったように感じたが)バディによる血みどろの武器・人外の身体能力・特殊能力バトル。(アツい)
躍動感のある動きと遠近・陰影のメリハリのある背景など質が高いアニメーション。
人間と妖怪の境界を青系と赤系の色の対比やアニメならではの色彩で表し、昭和31年当時の社会背景も緻密に描写。(支配者層に搾取される側の人間でも、さらに弱い立場の者が紫煙に咳込んでいることに最初は思い至らないという搾取の多重構造が描かれている点に好感)
次世代を搾取する者と次世代に尽力する者によって対比される「家族の絆」の光と影。(やあやあ我こそは対比描写大好き侍)
戦前日本の支配者層の醜悪さと、終戦してもなおその腐敗と搾取の構造が一掃されることなく温存されている近現代社会への批判。
数多のオタク、特に女性オタクたちの癖(ヘキ)に刺さるのも頷ける。(マジでYes,I think so.)
アニメだからと子ども向けに甘ったるくしない――どころか鉄錆と吐瀉物の味が口いっぱいに広がりそうな展開に、観賞後にファンがこぞって存在しないストーリーを描[書]いてセルフ・アートセラピーを始めるのも頷ける。
どうか心を大切にしてほしい。
それでも本作を高評価できないのは、女が「子産み袋」扱いされる悍ましさを絶対的な悪として描きながら、目玉の親父の妻岩子を作中最も都合の良い「袋」扱いしている言行不一致と自己矛盾に強烈な違和感を覚えたからだ。
作中、彼女のパーソナリティや目玉の親父と恋仲になったエピソードなどは具体的に描かれず、「美しい外見」と「人間好き(なぜ好きなのかは不明)」、くらいしか言及されない。
後半に本人が登場したら会話やモノローグで描写されるのか、すわ搾取され続けた妖怪たち、女たちの怒りをまとめて彼女が鉄槌を下す激アツ展開かと思いきや、最後まで主人公たちが奮起する動機と鬼太郎を産む役割に使われる。
思い出すのは『女が死ぬ』(松田青子,中公文庫)の同名表題作だ。
「女が死ぬ。プロットを転換させるために死ぬ。話を展開させるために死ぬ。カタルシスを産むために死ぬ。それしか思いつかなかったから死ぬ。ほかにアイデアがなかったから死ぬ。というか、思いつきうる最高のアイデアとして、女が死ぬ。
女が死ぬ。彼が悲しむために死ぬ。彼が苦しむために死ぬ。彼が宿命を負うために死ぬ。彼がダークサイドに堕ちるために死ぬ。彼が慟哭するために死ぬ。元気に打ちひしがれる彼の横で、彼女はもの言わず横たわる。彼のために、彼女が死ぬ。
女が妊娠する。新たなドラマをつくるために妊娠する。新たなキャラクターをつくるために妊娠する。停滞した状況を前に進めるために妊娠する。」
(一部抜粋)
ゲゲ郎が妖怪族の人間族に対する抵抗を、水木がプロレタリアート階級のブルジョアジー/エスタブリッシュメント階級に対する抵抗を描くのなら、妖怪であり、プロレタリアート階級であり、女性である、すなわちトリプルマイノリティである岩子は本作の「搾取」と「抵抗」というテーマの象徴的存在であり、自我を奪われた龍賀の女たち4人の対比的存在だ。
そんな彼女からパーソナリティや自我を語る台詞・シーンを奪ったのは、時貞ではなく制作者だ。
ファンたちの熱い礼賛を聞くにつけ、一人のオタクとしてわかりみがマリアナ海溝なのだが、どうしても最後まで残ったグロテスクな搾取構造に賛辞を送ることができなかった。
「声を奪われた女」を描くなら、その声を取り戻す物語を描かなければ、抵抗を描いた物語として片手落ちだ。せめて岩子自身が「なぜ人間を好きだったのか」を語る、または怒りや抵抗の意思を示す台詞の一つでもあれば、搾取から自立した主体となり得たはずだ。
本作は、支配者層への抵抗を鮮血と共に描いた傑作である一方、最下層に置かれた者から最小限の自我すら奪い沈黙させた時点でその抵抗の物語に自己矛盾を孕んだと言わざるを得ない。
抵抗の物語を描く側は、まず沈黙を聞き取らなくてはならない。
最高…です(泣)。
starstarstarstarstar - 2年前
物語の礎となる鬼太郎誕生秘話はもちろん知っていたが、それをこうも上手に肉付けして来るとは…やられた!想像以上だった!
画像もコンピュータ処理を前面に打ち出したものでは無く、原作ともまた少し違ったタッチではあるのだが、世界観を損わない良い作… 続きを読む
物語の礎となる鬼太郎誕生秘話はもちろん知っていたが、それをこうも上手に肉付けして来るとは…やられた!想像以上だった!
画像もコンピュータ処理を前面に打ち出したものでは無く、原作ともまた少し違ったタッチではあるのだが、世界観を損わない良い作画に仕上がっていると思う。
水木先生没後、しかし後世にも残せる名作が誕生したと言って差し支えなかろう。(オヤジさん風に)
最近、the Beatlesの未発表楽曲がAI処理され新譜として発表された。
漫画では作者が急逝され未完が危ぶまれたベルセルクは盟友や有志達の力をもってして再び連載が再開され、彼らによる新刊42巻が発売された。
また、
今週発売の少年チャンピオンには、かの手塚治虫氏の名著ブラックジャックがやはりAIを駆使して読み切り発表されている。
こういう流れには賛否が付きものだが…
私は勿論出来次第ではあるものの基本的には賛成派だ。
要は『老舗のうなぎ屋、秘伝のタレ』なのだ。
オリジナルの肝は残しつつ、新しいエッセンスを継ぎ足し継ぎ足してゆく…
継承とはそういう事だろう。
令和生まれの子ども達にも鬼太郎を知って欲しい。
とても面白かった!