赦すという言葉
starstarstarstarstar - 3年前
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2/11 イオンシネマ座間
本作の予告編をご覧になりましたでしょうか?
銃乱射事件の被害者両親と対峙する被害者両親。
この邦題凄く秀逸で、絵面はあの予告編のみ、それ以上も以下でもありません。
でも緻密に計算された会話劇は物語に緩急を生み、4人の話の中に今は亡き2人の子供が“見えて”くるんですよねぇ。
またクライマックス、遂に「ゆるす」という言葉が出る被害者の母親。
ここでは「赦す」という訳語が使われてます。
これがまた作品に凄い求心力をもたらせていましたよ。演者からは普通に「forgive」の単語が使われていたんですがね。
字幕担当は昨今引っ張りだこの松浦美奈さん、いい仕事されてます。
驚くべきはこれでアカデミー賞にかすりもしていないというね。相変わらず選者の目が本当に節穴なんではないかと心配になります。
登場人物は6人のみ、場所は教会の一室だけ、エンドロールなんて『アバター』の1/5くらいの長さでしたよ(笑)
こんなスタイルでこんなにも素晴らしい作品が出来るなんて、改めて映画の奥深さを実感させてくれる作品でした。
誰かのせいにして人生から逃げない
starstarstarstarstar - 3年前
正直言って始めはわからなかった。
何がしたいのか。
被害者家族と加害者家族が同じ席に着く。
そこから何が生まれるのか。
ただ憎悪と後悔しかないのではないか。
もう起こってしまったものは取り返しがつかない。
過去は過去。
こんな大きな心の傷は… 続きを読む
正直言って始めはわからなかった。
何がしたいのか。
被害者家族と加害者家族が同じ席に着く。
そこから何が生まれるのか。
ただ憎悪と後悔しかないのではないか。
もう起こってしまったものは取り返しがつかない。
過去は過去。
こんな大きな心の傷は絶対に消えない。
なのに、なぜと。
もし自分が被害者の立場だったら冷静に話なんかできない。こんな場には行きたくはない。顔も見たくない。
もし自分が加害者の立場だったら何も言い返せない。ただひたすら謝るしかない。謝って許されることではないが謝るしかない。
そう思って見ていたがどうだろう。
全く予想通りの展開にはならなかった。
面白かった。
面白いという表現が適切だとは思えないのだが、面白かった。
そうかコレがしたかったのか。
腑に落ちた。
(しかし腑に落ちたものの自分が同じことをできるかできないかと問われれば、できないだろう。自信はない)
映画の100ある魅力のひとつに人生の格言を得られるというのがある。
今回得られた格言はコレ。
「誰かのせいにして人生から逃げない」
勇気をもらいました。
円卓
starstarstarstarstar - 3年前
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被害者と加害者の両親が対峙する構図から
それぞれが息子と親への対峙と移り変わる
被害者の両親は救いを求めて席に着く
なぜ息子が死ななければならなかったのか
加害者の少年がなぜ凶行に至ってしまったのか
なにか防ぐ術はなかったのか
やり場のない怒りや混乱をぶつける
一方で加害者の両親は
愛する息子が人を殺し自身も社会から封殺され
これ以上私たちに何ができるのか
過去を悔やんでも何が悪かったのか
自殺した愛する息子を弔うこともできないのか
彼らは彼らなりの葛藤を口にする
円卓を囲んで対峙していた両者は
会話を通して親と子の関係性を見つめ
席を移動しながら己の中で苦悩する
人を殺めた息子の人生に価値はなかったのか
あなたを赦してしまうと息子を失うのではないか
お互いが抱える不安定な何かを
お互いが認め合って次第に融解していく。
最後には円を囲んで祈りを捧げ
音のない永遠にも感じる空間から世界に音が戻る。
複雑で混沌とした空間で感情と理論とが入り乱れ、
言葉にできない想いを伝えようと皆が何度も苦心する。
文化的にも宗教的にも理解が追いつかない部分も多い
何に怒り、何に悲しみ、何の答えが欲しいのか
無秩序で不規則にも見える会話のやり取りの中で
答えを見つけてしまうことへの恐れが見え隠れする
圧倒され続けた2時間だった。
脚本、演技、キャラ分け、見事
starstarstarstarstar - 3年前
最初から、赦すと言うつもりだった被害者の母親。前に進むために。でも加害者の親と対峙してみると感情が許さない。加害者の母親は自分の息子を精一杯愛したと思っているし、何がいけなかったのかわからない。父親は自分は悪くない、と思っている。被害者の父… 続きを読む
最初から、赦すと言うつもりだった被害者の母親。前に進むために。でも加害者の親と対峙してみると感情が許さない。加害者の母親は自分の息子を精一杯愛したと思っているし、何がいけなかったのかわからない。父親は自分は悪くない、と思っている。被害者の父親は、こうなった理由が知りたいので、詰め寄るが答えは得られない。話しているうちに被害者の母親は、あるときの息子の姿を思い出す。泥だらけで誇らしげに笑う息子。息子が生きていた意味を知ったのだ。加害者の母親もあるエピソードを吐き出して泣き、二人の母親は抱き合う。被害者の父親も何か啓示を受けたように笑う。加害者のお父さんだけ、置いてけぼり。あのお父さんだけ、変わらない。そういう描き分けもすごい。
変わらぬ愛
starstarstarstarstar - 3年前
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何度も泣きそうになった。
BGMはなく、回想シーンが入ることもない。ただただ狭い部屋で対峙する2つの家族を自然なカメラワークで見つめることになる。
加害者家族と被害者家族。そこには天と地ほどの差がある。頭ではもう全て分かっている。事件のことも互いの家族のことも、亡くなった全ての人のことも、事件を起こした加害者のことも。
加害者家族に贖罪の意思があることも全部頭では分かっている。…でも心では受け入れられない。
対話を通じて一つ、心から理解できた。加害者夫婦も自分達と同じように息子を愛しているのだと。
最後に口にすることができた「赦す」という言葉が互いの家族の救いとなった。悲しい過去と憎しみに囚われず、前を見て進むことができる。それはまさに希望だと思う。