辛口コメントしか浮かばない……
※本文にネタバレがあります ネタバレを読む
監督の好みが、私の嗜好と全く被らず辛かった。 あと、『室町無頼』を観たあとだと、比較してしまって、余計に酷く感じた気がする。 自分が気に入らなかったのは、 ①人間の理解が浅い ②キャラの掘り下げ、周囲の心の移ろいの描写がない ③臨場感がある作品を見たあとだと、一歩引いたお綺麗な映像が物足りない ④疫病の史実を描く作品でありながら、医学的な説明がほとんどない。 ⑤物語にテーマを求める派としては、何も伝わらなくて、作品を通して何を伝えたいのか分からない ⑥エンターテイメントを意識した部分が、全く刺さらない、ムダに感じる という点。 自然の映像はとても美しかったです。 見てる間、ずっと、 「いや、そうはならないでしょ」と、感じさせる作品。 伝染病の患者がでたら、農村の無学で貧しい人たちが、すまなそうに病人を隔離先に追い出し、病人がでた家の家族を慰める……。 つい最近、義務教育を受け、マスコミによる正しい知識の伝達を受けた人たちがコロナの患者とその家族を差別して、問題になっていたけれど……? 一昔前、伝染病じゃなくても、水俣病患者も家族も差別されてたのに……? まぁ、どんな時代も、例外的に格別に人柄が優れた個人、地域はあるだろうけど、この作品で選ぶべきは前者なのでは……? 生き残りの女の子にかける言葉が、他人事。当事者じゃなければ、何とでも言えるよね、という感じ。 言葉にされない、描かれなかった村での立場を思うと、涙が出るのに、偉そうな説教をする主人公と監督に殺意がわいた。 雪山で遭難しかけたあとの、子どもたちの親の態度も、全く理解できない。 全くその心の移ろいが描かれないため、説得力がない。 「皆のために!」と言う、主人公の必死な様子に根負けして、自分も幼い子供も死にかけて。助かったものの、もしかしたら凍傷で手足の指がなくなっていたかもしれない。 史実としては失っていたのでは? と思わされるゾッとするシーンのあとに、主人公を褒め称え始める人たち。 ……意味不明。観客の心は置いてけぼり。 絶対に、その合間に観客を感動させるような大事なシーンがあっただろうに、省かれている。 金のために参加したが、その行いの尊さに気づき、ぜひ、共に、命をとしてやり遂げたい、と決意するシーンが見たかった。 自分の幼い子供が死にかけたら、指を失いかけたら、私なら主人公を殺してしまうのでは、という勢いで憤る。 お前の御立派な理想のために、うちの子を殺すきか、と罵倒する。 そんなシーンで主人公が両親たちに申し訳ない、と頭を下げるが、事の重大さに合わない反省の仕方に軽蔑と怒りを覚えた。 ドキュメンタリー風の、顔のアップで感情を語り、引きの風景一つで地獄絵図を見た後だと、一歩引いたキレイで、整えられた映像だと、セリフで説明されてる感じがしてイマイチ。 子供が何故、遠距離を往復しなくてはいけないのか、観客に配慮した分かりやすい説明がない。 後から、何となく、「あ、そういう事か」と分かるような感じだったのが残念。 最初にハッキリと問題を提起していれば、 「え、大丈夫?」「無理じゃない?」とハラハラしながら見れたのに……。 一番、興味のあったところは結局、説明なく終わった。かさぶたを取り出して、再利用するのか、腫れたところに出た吹き出物みたいなのが必要なのか、知りたかった。 この物語を通して、何を描いて、伝えたかったのか、ぜんぜん分からなかった。 原作の良いセリフ、みたいなのがいっぱい出てくるので、それを知って欲しかったんだろーなー、というのは分かる。(説教臭いとしか思わなかったけど) 3回ぐらい出てきた和歌のシーンも、これ以上、削れないぐらい好きなんだなー、というのも、何となく感じた。 字幕もなく、セリフのスピードのせいもあって、全部素通りした上に、何を歌っているのか、さっぱり分からなかったけど。 (和歌が好きな人は、言葉が頭に入って、何について歌っているのかも分かるのかもしれない) 自然の厳しくも美しい景色は力が入っていて、好きなんだな、と感じた。 生き残った少女の歌も、二十年前に再放送されていたサスペンスみたいで、私は、何コレ、ってなったけど、母の世代だと「良い歌ね」と聞き惚れる感じ。(時代劇で、突然ディズニー展開で、回想シーン流す訳でもないので、個人的には長くてしんどいシーンだった) 監督が好きなもの詰め込んだんだな、という感じで、人の本質を描いたり、社会問題を浮き彫りにするような、深みは感じなかった。 正しい事をしてるのに、既存権益の人たちが人々の無理解を利用して邪魔したが、それを乗り越えて、一つのプロジェクトを成功させた、というストーリーの描き方も、なんか、浅い理解だな、と感じてしまった。 主人公だって、少し前までは、何となく、食わず嫌いで蘭学を嫌ってたくせに、正義ヅラしてるのが納得いかない。 無理解の人たちに理解してもらう努力を描かず、お上を味方につけて、下の不満を押さえつける図も、嫌悪感が……。 上に動いてもらうにも、その間にたくさんの人がいて、それぞれの価値観があって、という、ドラマが見たかった。 作品の深みを出すために、もっと掘り下げてほしい、手間暇かけて説明してほしいと感じる時間に対して、いらない、取ってつけたようなエンターテイメント性のあるシーンが無駄に感じた。 太鼓もアクションも、この静かな感じの作品の中で浮いてる。 そんなのに尺を使うぐらいなら、もっとやるべきことあるでしょ、と思ってしまった。 (太鼓の演奏を聞くのも、殺陣を見るのも大好きですが、この程度の中途半端なものなら、見る必要ない)