アルプスの美しさ
※本文にネタバレがあります ネタバレを読む
ある一生、恵まれない境遇で育った主人公は成長して逞しい美男子に。土地を耕し、家を建て、一つひとつの過程がいかに大変かがリアルに描かれ、大草原の小さな家のマイケル ランドンのようです。黄昏時に草花が風に揺れる光景、白い氷河を抱いた山々、観光客で溢れる前のアルプスの自然の美しさを堪能できます。美しくも厳しい自然と開発や戦争など時代の波に翻弄される主人公の一生が丁寧に描かれていました。
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世界40言語で翻訳、160万部以上発行されたベストセラーを映画。激動の20世紀、アルプスに生きた名もなき男の愛と幸福に満ちた一生。1900年頃のオーストリア・アルプス。孤児の少年アンドレアス・エッガーは渓谷に住む、遠い親戚クランツシュトッカーの農場にやってきた。しかし、農場主にとって、孤児は安価な働き手に過ぎず、虐げられた彼にとっての心の支えは老婆のアーンルだけだった。彼女が亡くなると、成長したエッガーを引き留めるものは何もなく、農場を出て、日雇い労働者として生計を立てる。その後、渓谷に電気と観光客をもたらすロープウェーの建設作業員になると、最愛の人マリーと出会い、山奥の木造小屋で充実した結婚生活を送り始める。しかし、幸せな時間は長くは続かなかった。第二次世界大戦が勃発し、エッガーも戦地に召集されたもののソ連軍の捕虜となり、何年も経ってから、ようやく谷に戻ることができた。そして、時代は過ぎ、観光客で溢れた渓谷で、人生の終焉を迎えたエッガーは過去の出来事がフラッシュバックし、生涯を共にしたアルプスの光景を眼前に立ち尽くす。
©︎ 2023 EPO Film Wien/ TOBIS Filmproduktion München
ある一生、恵まれない境遇で育った主人公は成長して逞しい美男子に。土地を耕し、家を建て、一つひとつの過程がいかに大変かがリアルに描かれ、大草原の小さな家のマイケル ランドンのようです。黄昏時に草花が風に揺れる光景、白い氷河を抱いた山々、観光客で溢れる前のアルプスの自然の美しさを堪能できます。美しくも厳しい自然と開発や戦争など時代の波に翻弄される主人公の一生が丁寧に描かれていました。
人生の前半ほとんどを数々の不条理な出来事に翻弄される主人公エッガー。 願いが叶ったこと、得られたものよりも失ったもの奪われたもののほうが多かったのでは‥という、エッガーの人生を一人称視点で描いてありました。 「神を信じていない」と言うのも無理はなくやっと幸せになったと思ったのに‥。 それでもどこか、大自然というものは与えて奪って受け入れてくれて、最後は帰る所なんだと達観している風がある。 エッガーの一生は幸せだったのか? イエスノー2択で語れるものではなく、ましてや他者が判定するものではなく‥。 大きな感動!大泣き!ではなかったですが、何だろう。今も心に残ります。
ただただ懸命に働き、死ぬまで生きる。 主人公の生涯に観ている私たちは立ち会う。辛い場面も多々あるけれど、彼は不幸ではないし孤独でもない。愛された記憶、愛した記憶を大切にしながらその人生を進めていくだけ。 事あるごとにアルプスの広大な山々が映し出される。様々な出来事を静かに受け止め、浄化しているかのように。そんな山も不変ではない。削られて鉄塔を建てられて観光客が押し寄せる。 死んだ妻に宛て、手紙を書き続ける。手紙って言ったって紙切れにすり減った鉛筆で書き綴っただけ。そんな姿に涙が止まらない。妻を亡くしたあの時以降、彼の人生は『余生』でしかなかったのかも知れない。(もちろんそれも含めて人生) 彼の棺を埋めるために掘られた穴のすぐ横から、沢山の紙切れがバサバサと落ちた。妻に宛てた手紙なのだと分かる。誰にも読まれることのないまま彼と一緒に葬られる。 主人公は少年期、青年期、老年期に分かれ3人の役者が演じている。青年期のシュテファン・ゴルスキーがいい! 美しい、心を揺さぶられる映画でした。