1人の生涯に立ち会う
※本文にネタバレがあります ネタバレを読む
ただただ懸命に働き、死ぬまで生きる。 主人公の生涯に観ている私たちは立ち会う。辛い場面も多々あるけれど、彼は不幸ではないし孤独でもない。愛された記憶、愛した記憶を大切にしながらその人生を進めていくだけ。 事あるごとにアルプスの広大な山々が映し出される。様々な出来事を静かに受け止め、浄化しているかのように。そんな山も不変ではない。削られて鉄塔を建てられて観光客が押し寄せる。 死んだ妻に宛て、手紙を書き続ける。手紙って言ったって紙切れにすり減った鉛筆で書き綴っただけ。そんな姿に涙が止まらない。妻を亡くしたあの時以降、彼の人生は『余生』でしかなかったのかも知れない。(もちろんそれも含めて人生) 彼の棺を埋めるために掘られた穴のすぐ横から、沢山の紙切れがバサバサと落ちた。妻に宛てた手紙なのだと分かる。誰にも読まれることのないまま彼と一緒に葬られる。 主人公は少年期、青年期、老年期に分かれ3人の役者が演じている。青年期のシュテファン・ゴルスキーがいい! 美しい、心を揺さぶられる映画でした。