ナイト ミュージアム
※本文にネタバレがあります ネタバレを読む
冴えない中年男性のLarry(Ben Stiller)は、職業斡旋所からの紹介を受けて自然史博物館で夜間警備の職に就く。初出勤の晩、彼は展示物が館内を走り回るという驚くべき光景を目の当たりにする。 ◆ Don't let anything in or out. マンハッタンに位置するアメリカ自然史博物館。ここに展示されている古代エジプトのファラオAhkmenrah(Raimi Malek)の石版には不思議な魔力が宿っていて、夜ごと展示物に生命を吹き込んでいるのだったー。 解雇される高齢の前任警備員たちから「誰も中に入れてはいけないし、外に出してもいけない。」という意味ありげな引き継ぎを受けた理由が直ぐに明かされました。なんとも夢のあるストーリー。世界最大規模の所蔵品数を誇る博物館に展示された骨格標本や剥製、蝋人形からミニチュア模型にいたるまで、あらゆる展示物に命が宿ります。 ティラノサウルスは骨格標本の姿のまま動き回っていたのに、ファラオのミイラはみずみずしくてツヤツヤでした。ファミリー向けの今作に『ハムナプトラ』の様なカラカラの干からびたミイラが登場するとホラー色が強くなってしまうため、きちんと配慮されていたように感じます。 夜毎生き生きと動き回る展示物たちと夜警とのコミカルな掛け合いは観ていて楽しい。コメディ俳優Ben Stillerの演技が光っていました。 ◆ I'm made of wax, Larry. What are you made of? 化石や剥製など「かつて生きていた」展示物は勿論のこと、銅像や蝋人形など「模して造られた」展示物にも個性的なキャラクターが付与されているのが楽しいポイントでした。 かつてユーラシア大陸に大帝国を築いたフン族の大王Attila the Hun(Patrick Gallagher)は、異国語を叫びながら直ぐに他人を八つ裂きにしたがる野蛮な蝋人形。ちょっと間の抜けたネアンデルタール人たちの蝋人形や、ずるがしこくて悪戯ばかりするオマキザルの剥製。無言で戦いを続けている南北戦争の兵隊のマネキンたち。多種多様な展示物たちがひしめき合う画面は大変に賑やかです。 個性的な展示物たちの中でも特に目立っていたのがミニチュア模型のリーダーたち。西部開拓時代の探検家Jedediah Smithは、ジオラマの世界で隣の展示コーナーにまで鉄道を延伸させようと目論みます。そのお隣さんとはコロッセウムを中心とした古代ローマ帝国のジオラマ。此方も皇帝Octaviusが領地拡大を狙っています。陣取合戦を繰り広げる二人をOwen WilsonとSteve Cooganが好演していました。 そして、展示品の中で欠かせない存在であったのが合衆国第26代大統領のTheodore Roosevelt。個性的すぎる展示品たちの取扱に四苦八苦する新米警備員に助言を与えてくれます。演じるのは名優Robin Williams。「大統領の蝋人形」と「生身の人間の夜警」というキャラクター同士の設定が絶妙なバランスで、Ben Stillerとの新旧コメディ俳優の共演は見応えがありました。 1970年代を代表するアフリカ系アメリカ人によるファンク・バンド Earth, Wind & Fireの代表曲『September』を流しながら、展示物たちがエントランスホールでフィーバーする楽しげなエンディング・シークエンスで今作は幕を閉じます。大変な仕事かもしれないけれど、間違いなく時給以上の価値がある。主人公Larryの台詞が染みます。 〝This is not worth $11.50 an hour.〟