あなたならどうする?
starstarstarstarstar - 2年前
これは難しい…映画開始10分ぐらいから頭を抱え込んでしまうような状況が展開する、実話に基づく貴重な作品。
第二次大戦末期、ナチス占領下のデンマークにドイツ本国から大量のドイツ人難民たちが流れ込んでくる。そのうち200人を受け入れるようドイ… 続きを読む
これは難しい…映画開始10分ぐらいから頭を抱え込んでしまうような状況が展開する、実話に基づく貴重な作品。
第二次大戦末期、ナチス占領下のデンマークにドイツ本国から大量のドイツ人難民たちが流れ込んでくる。そのうち200人を受け入れるようドイツ軍司令官に市民大学学長ヤコブは命じられるが、実際にやってきたのは200人ではなく500人もの難民だった。しかも場所の提供だけのはずだったのに、ドイツ軍は難民を置き去りにし、食糧供給はじめ、何のサポートもしない始末。やがて難民たちの間に感染症のジフテリアが広がり始め…。
物語は12歳の少年セアンの視点で語られ、少年の父で市民大学学長ヤコブ、母リス、少年セアン、それぞれの揺れ動く思いと行動が描かれる。ドイツ占領下の住民たちにとって、ドイツは敵国であり、ドイツ人は憎悪の対象である(市民大学の音楽担当スタッフでレジスタンスでもあるビリクは、何の罪もない医者の父親を見せしめのようにナチスに殺されたばかり)。たとえ難民でも、ドイツ人を助ければ裏切り者呼ばわりされ、油断すれば家族もろとも命さえ落としかねない…。何と難しい状況だろう…、何度もそう思わずにはいられなかった。
父や母の人道的行動に反発し、息子のセアンはレジスタンスのビルクの手伝いをしたり行動を共にするようになる。12歳の子供には、敵か味方かの二分法の考え方は理解できても、二分法に絡め取られない父や母の人道的振る舞いは理解できないのだ。
が、父と母の人道的行動がついに息の根を止められようとしたとき、少年セアンの中で何かが動きだす。森の中で助けてくれたギセラ…。
映画ラスト10分を力強く引っ張っていくセアンの訴えは胸を打ち、涙がこぼれる。酷い目にあったところを助けてくれ、大切なことを教えてくれた大事な友だちを、見捨てるなんて絶対できない…。
セアンを演じる少年の演技が、惚れ惚れするほど素晴らしい。台詞も出番も多くはないものの、ギセラを演じた少女も心に残る。
映画冒頭二つ目の場面で市民大学学生たちによって歌われた合唱曲が「世界のどこでも 心はしなやかに〜♪」と始まるのは、その後の展開を考えると、皮肉である。
ラストシーン、この家族それぞれの思い、観客の思いの双方を受けとめて秀逸だ。闘い済んでのこの家族に、あなたたちは間違ってなかったよ、と心の中で声をかけた。
戦争を経験してないわたしたちは、戦時の物事の複雑さ、人間と人間の関係の熾烈さというものを知らない。しかし今現在でも、地球上では戦争が続いており、この映画と似たようなことが起きているに違いない。この作品は、戦争というものについて考える優れた教材になりうると思う。
是非多くのひとに観てもらいたい作品です。
人として正しいことをし続けることの難しさ
starstarstarstarstar - 2年前
※本文にネタバレがあります ネタバレを読む
行ったことのない国、生きたことのない時代。
人種も性別もまるで違う、遠い画面の中の人の人生を、深くパーソナルに感じられる作品を良作と呼ぶのだと、改めて実感する。
物語の役割。根底にあるのは、皆、同じ人間であるということを忘れないようにするためなのかも知れない。
目の前の相手が自分と同じ「人間」であることを忘れ、「ドイツ人」や「敵」などのラベルを覆い被すと、人は驚くほどに残酷になれる。
人間は何百年経っても変わらない。同じ状況になれば、国や地域や人種を問わず、きっとみんな同じことをする。どうしようもなくそのことが理解できてしまって、ずっとずっと悲しい気持ちだった。人として正しく在ることは、こんなにも難しくて、こんなにも怖い。でも最後に希望があった。人が人であることを忘れないでいたいと思った。彼らの幸せを願わずにはいられなかった。
胸がギュっとなる101分
starstarstarstarstar - 2年前
1つの事柄に対して人々が対立する背景には、人道的倫理観、家族の安全、家族を奪われた憎しみ、愛国心…等、どれも間違っているとは言い切れないそれぞれの思いと事情がある。
説明がくどくなく一瞬で事情と立場がわかる導入は素晴らしかった。
そして感… 続きを読む
1つの事柄に対して人々が対立する背景には、人道的倫理観、家族の安全、家族を奪われた憎しみ、愛国心…等、どれも間違っているとは言い切れないそれぞれの思いと事情がある。
説明がくどくなく一瞬で事情と立場がわかる導入は素晴らしかった。
そして感情移入していくうち、登場人物達が演じた役割のそれぞれが自分自身の中にもある多面的な姿であることに気づいていく。
作中人々が重層的に見せた姿は、「もし自分だったら何を選択する」を問いかけ続ける。
失ったものは多いが、捨ててはならないものを捨てない選択をした姿は凛として、最も強く美しいシーンでした。
市井の人々に過酷な選択を強いる、それが戦争というものだ等とあきらめ、考えることをやめてはならない。こども達の心に憎しみを植え付けてはならない。とても胸がギュっとなる101分。
予想以上に良い映画だった
starstarstarstarstar - 2年前
主人公の男の子が、とても良かった。良心から弱者を助けた家族が過酷な運命に・・・
敵は全て憎むべき者?みて見ぬふりをするのが正解なのか?複雑!
助けるか、見殺しにするか
starstarstarstarstar - 2年前
※本文にネタバレがあります ネタバレを読む
第二次世界大戦末期におけるデンマークの話。
当時のナチ・ドイツは敗戦が濃厚でありながらも抵抗を続けたために多くのドイツ人難民を生み出すキッカケになったが、数が多いだけにどの国で受け入れるかが問題になり、占領下にあったデンマークは断れずドイツ人難民を受け入れる。
学長のヤコブは致し方なく、体育館を提供するのだが、ドイツ人難民の中には親を失った孤児も中には含まれている。幾ら憎きドイツ人といえど人として見殺しには出来ないと判断したヤコブの妻のリスは牛乳を与えるようになる。
だが、この行為もいずれはバレる。
戦乱の混乱の最中に、ドイツ人を受け入れる余裕がないのは当たり前なわけだし、ましてや宗主国でもあるから憎い気持ちがあって当然。
デンマーク人としてのプライドを貫き見殺しにするか、人として救える命を助けるべきか。
最終的に息子のセアンが助けてもらったドイツ人難民で感染症を発症してしまった少女を助けるために病院へ連れて行く。病院はドイツにと言いながらもヤコブは目の前の命だけは助けてくれと懇願する、その結果少女の命は助かるがヤコブは職を失い、出ていかざるを得ない状態になる。
あの当時のドイツには果たして難民に対する援助なんて出来ないから占領下の国に対し自国民を丸投げするしか頭になかったのだろう。援助をお願いしても物資が乏しいがために出来ないが答え。正義を貫いたヤコブ一家の判断は素晴らしい。