せつなく苦しく強いドラマ
starstarstarstarstar - 1年前
史実に基づく出来事の中に
どれほどの人間たちの思いがあったのか。
歴史に埋もれ、予定調和なんてない現実の中に見出すドラマが胸を打ちました。
原作本はThe Captain and Ann Barbaraとあるだけあって、マッツのケーレン… 続きを読む
史実に基づく出来事の中に
どれほどの人間たちの思いがあったのか。
歴史に埋もれ、予定調和なんてない現実の中に見出すドラマが胸を打ちました。
原作本はThe Captain and Ann Barbaraとあるだけあって、マッツのケーレンの話でありながら、素晴らしき女性アン・バーバラが決して失わなかった魂と、2人の間に生じたものを描いてありました。
アン・バーバラの貫いたものは清々しい。
今作と同じニコライ・アーセル監督作品「ロイヤル・アフェア愛と欲望の王宮」(←B級臭漂う邦題と裏腹に格調高き名作と思ってます)でも、歴史に翻弄された人間達が貫こうとした思いを切なく描いてありました。
この監督はそうした切なく苦しく力強いドラマの名手であるとともに、マッツの使い方の名手です。
純朴マッツ
ちょいバイオレンスマッツ
控えめセクシーマッツ
農夫マッツ
18世紀軍服マッツ
ぼっちメシマッツ
‥‥いろいろ見れまして、おすすめです。
もちろん特にマッツに思い入れのない方にも面白い作品と思います。
D・トランプに見せたい映画ですね
starstarstarstarstar - 1年前
※本文にネタバレがあります ネタバレを読む
この映画のケーレン大尉同様にデンマークの領土グリーンランドをアメリカ🇺🇸が本気でを耕したいなら、それなりの覚悟と犠牲とイボ痔に耐えて、ジャガイモづくりからはじめなさい。
そうして、この映画を観て。デンマーク王国の男爵イモとなり、世界を食糧危機から救いなさい。それでも温暖化は止まりませんけどね、朝の霜だけは取れるでしょう。
期待を裏切らないマッツ・ミケルセン
starstarstarstarstar - 1年前
「愛」が付くタイトル作品は敬遠しがちなものの、その甘ったるさを中和するかのようなマッツ・ミケルセンの顔の大写しポスターで、楽しみに鑑賞。18世紀デンマークの実話に基づく物語。地味目が予想されますが、全くそうではありませんでした。
【以下… 続きを読む
「愛」が付くタイトル作品は敬遠しがちなものの、その甘ったるさを中和するかのようなマッツ・ミケルセンの顔の大写しポスターで、楽しみに鑑賞。18世紀デンマークの実話に基づく物語。地味目が予想されますが、全くそうではありませんでした。
【以下、ネタバレあり】
期待を裏切らないマッツ・ミケルセン。昔の少女漫画のように、主人公を虐めて虐めて虐め抜く悪役が出てくるこの物語は、主演が彼でなければ、実話に基づくのでなければ、ひとつ間違えると安っぽいメロドラマになりかねないところだが、マッツが、演出が、編集が、脚本が、決してそうはさせない。とても出来の良い作品だ。
ルドヴィが向き合った、人を寄せ付けない厳しいヒースの荒地。そこに植えたジャガイモの種芋から初めて姿を見せる若葉を見つけるのは、タタール人の孤児アンマイ・ムス。喜びを分かち合う血の繋がらない3人。そのとき周りのヒースの荒地のようなルドヴィの心にも若葉が芽吹く。
アン・バーバラも、愛情深く、細くても力強く、素晴らしい。終盤でのエレルとの共闘もなかなかグッド。そしてラスト、ひとり食事をとっているルドヴィを捉える映像から始まるラストの3分は、一度観ただけでいつまでも忘れないような秀逸なラストだ。
ルドヴィが開拓に取り組んだ荒地、それまで開拓に成功した者がいないヒースの荒地。厳しい気候のなかで幾多の困難を乗り越えながら、ジャガイモの栽培に成功してゆく道程は、他者の手助けなしにはなし得ない道程であり、恐らく初めて彼は自分が心の底から必要としている他者を、そして愛を見いだしたのだろう。それは栽培に成功したジャガイモよりも、開墾の成功の見返りに得られる貴族の称号よりも大切なものだった。そのとき、ルドヴィが耕した荒地は、彼の心そのものとなる。
観終わって、この邦題は卓抜であることがわかりました。
生まれを乗り越えたかった男が、生きる意味を見出すまで
starstarstarstarstar - 1年前
出自が運命をも決めてしまうような時代、私生児だった主人公は社会に認められることにストイックにこだわり、駆け上がってきた。
第二の人生でさらなる高みを目指す時、立ちはだかる圧倒的な現実と対峙しながら、人の愛に触れ、生きる意味を自らに問い、世界… 続きを読む
出自が運命をも決めてしまうような時代、私生児だった主人公は社会に認められることにストイックにこだわり、駆け上がってきた。
第二の人生でさらなる高みを目指す時、立ちはだかる圧倒的な現実と対峙しながら、人の愛に触れ、生きる意味を自らに問い、世界観をかえてゆく...そんな力強い希望の物語。
長く続く重苦しい停滞した空気に、少しずつ暖かい光が差し、流れはドラマチックに展開していきます。ですが観終わってからも、どこか重たい感じが胸に残る作品でした。
時代のもつ厳格な社会構造ゆえの閉塞感かもしれませんが、そんな中で主人公が今の時代からも共感できる生き方を貫けたこと、それはひとえにすごいなと思います。
悔恨
starstarstarstarstar - 1年前
※本文にネタバレがあります ネタバレを読む
ひたすらに開拓を夢見た先に愛を見つける。
嗚咽がもれそうな苦しさだった。
不毛の土地とされ国王の悲願でもあったヒースの開拓を庭師から大尉に成り上がったドイツ人が成し遂げる。
人もお金もない中で地主と対立し、辛酸を舐めながら土地を耕す。最初こそ擬似家族だったアン・バーバラとアンマイ・ムスと生活を共にし、遂にじゃがいもの生育を成し遂げる。
食べ残しを喰らうほどに飢え、ヤギを失ってでもなんとか食い繋ぎ、霜にやられない様に草を被せ、やっとの思いで芽を出したじゃがいもは彼らの苦労の結実だった。
心は別の人のところにあった行為も少しずつお互いに溶け合っていき、血のつながらない本当の家族になっていく。
それなのに、理不尽が彼らを放っておかない。
アンマイ・ムスは見た目で不吉だと蔑まれ、地主の策略で馬や仲間を失い、理不尽な行いに反旗を翻すが、事態はさらに悪化する。仲間を失い、鞭打ちにあい、領主の命と引き換えにアン・バーバラは囚われる。
アイナン・ムスを迎えに行き2人だけの長い時を経て、遂に男爵となったのに、また1人になってしまう。
涙を堪えながらも笑顔をつくり頷く表情は、愛でもあったし、悲しみでもあった。
慎ましやかに暮らす彼らから何ももう奪わないでくれと何度も願った。様々な後悔を経験したケーレンの最後に残ったのがバーバラとの人生であったことが僅かばりの救いだった。
原題の『BUSTERDEN』は"私生児"
嫡出子ではないケーレンもバーバラも愛を知っていたのに対し、最期執事にすら見捨てられた嫡男のシンケルは対照的だった。
邦題の『愛を耕すひと』もとてもいいタイトルだった。
じゃがいもをつくりながら確かな愛が育っていた。