底無し沼で生きる太郎と花子に悲しくなった。
人々が血塗れになってドンドン死ぬ内容なので、スプラッターが苦手な方は避ける事をお薦めします。 この映画は、現在の山田太郎と花子、警察による捜査、子供時代の山田太郎と花子の三つのパートから構成されているのですが、上手いからなのか全く混乱せ… 続きを読む
人々が血塗れになってドンドン死ぬ内容なので、スプラッターが苦手な方は避ける事をお薦めします。 この映画は、現在の山田太郎と花子、警察による捜査、子供時代の山田太郎と花子の三つのパートから構成されているのですが、上手いからなのか全く混乱せずに観られました。 テーマがよく分からなかったし、「もしかしたら中身が薄いのかもしれない…?」と思わせる隙が有りました。 構成の巧さには感心しましたが、私の中では脚本だけならあまり評価が高くありません。 しかし、キャスト陣の演技が加わると、劇場で正規料金を払ってまで観て良かったと思わせられるだけの価値が出て来て、話は変わって来ます。「映画は総合芸術だ」とよく言われますが、今回それを実感しました。 佐藤二朗さんは、最初に出た時からテレビに出ている時の二朗さんらしいオーラが無く、冴えないホームレスの中年男性に見えましたし、底知れぬ狂気が感じられました。目の表情だけで山田太郎が狂気・絶望・喜び・切実な祈りなどどんな心境なのかが伝わって来ましたし、声の出し方も「彼がこの状況にいたらこんな声しか出ないだろう」と思わせる的確な演技でした。『爆弾』で映画賞を総なめにしたのも納得の演技力でした。 MEGUMIさんは、現在の花子のやさぐれ感が上手く出ていましたし、太郎に対する狂気じみた愛情、太郎と違って普通の人間の苦悩など圧倒的な熱量で演じていました。 佐藤二朗さんは『歴史探偵』でしか観た事が無く、「福田雄一作品の常連の愉快なおじさん」というイメージ。MEGUMIさんは、『極主夫道』でしか観た事が有りません。観る前はお二人は「コメディ寄り」というイメージだったのですが、この映画で認識が変わりました。 子供時代の太郎を和彦さん、花子を小柴みらさんが演じていますが全く違和感が無く、「よくこんな演技派の子役を見付けられたな」と驚きつつ感動しました。 底無し沼で生きる二人の狂気・絶望・喜びなどに見入ってしまいまい、ただただ演技に圧倒されました。 丸山隆平さんはいい人なのにどことなく俗っぽい巡査を飄々と演じていましたし、捜査する警察側の俳優陣も抑えた演技も的確でした。 佐々木蔵之介さん演じる国枝は、佐藤二朗さん演じる太郎と好対照になってましたしね。 Novel Core『名前』は、スプラッターな本編の内容とは違うこの上無く天国を連想させる美しい曲なのに、太郎の切実な祈りが伝わる歌詞で、EDに流れるのに相応しい名曲でした。 2026/7/17(金) 鶴岡まちなかキネマにて鑑賞