高評価に釣られて
starstarstarstarstar - 3ヶ月前
終始、息がつまるような焦燥感を感じる。
フロリアは熟練して無駄がない動作でひとつひとつタスクをこなしている。しかし間髪空けずに患者や患者家族の訴えが続く。
見ているこちらが、ああ次は鎮痛剤を持って行かなくちゃ、お茶を持って行かなくちゃと… 続きを読む
終始、息がつまるような焦燥感を感じる。
フロリアは熟練して無駄がない動作でひとつひとつタスクをこなしている。しかし間髪空けずに患者や患者家族の訴えが続く。
見ているこちらが、ああ次は鎮痛剤を持って行かなくちゃ、お茶を持って行かなくちゃと急かされるような焦りを感じる。
フロリアにずっと感情移入してしまうので、こんなに明るく誠実に無駄のない対応をしているのに、と患者達に感じてしまうけれど、立場を替えて考えてみたら、痛みや病状の不安を誰に訴えたらいいの?となってしまうのは仕方のないことかもしれない。
医療従事者の方への尊敬と、病気や死に対する恐怖。無機質な病院の清潔さ。アラーム、毒にもなりうる薬。
つい自分に置き換えて、病院と無縁でいたい、と思ってしまった。
まるでサスペンス映画
starstarstarstarstar - 4ヶ月前
まるでサスペンス映画の中の様な病院の夜勤での、主演女優さんの働きぶりは本当に素晴らしいとしか言いようがないほど健気でカッコ良くもあった。
病院のリアルが淡々と...
starstarstarstarstar - 5ヶ月前
さすがにあんな暴言を吐くナースは見ないけれど、最後に時計が返せて良かった。
報告した同僚がウケてくれたのもホッとした。
帰りのバス、スカーフの患者さんを想いながら束の間の眠りに...。
準夜勤のナースの日常、対人援助職は感情労働なので、医… 続きを読む
さすがにあんな暴言を吐くナースは見ないけれど、最後に時計が返せて良かった。
報告した同僚がウケてくれたのもホッとした。
帰りのバス、スカーフの患者さんを想いながら束の間の眠りに...。
準夜勤のナースの日常、対人援助職は感情労働なので、医療従事者にはあるある過ぎて、感動とはちょっと違うのかな...。
フロリアのテキパキ加減が堂に入っていると思ったら、主演のレオニー・ベネシュさんは病院でインターンシップを修了して役作りに挑んだのですね。
さすが!ナチュラルな演技がリアリティを増していました。
病院の規模にもよるのかもしれないけれど、設定は外科病棟26床とは言え州立の総合病院、個人的には、満床じゃない他病棟から応援が来ないのはちょっと不思議な気もしました。
スーパーナースのエンターテインメントではないが、彼女の八面六臂の活躍には頭が下がる
starstarstarstarstar - 5ヶ月前
つい最近、薬の誤投与で患者を死亡させてしまった病院が謝罪会見を行なっていた。単純に「あり得ない」と憤りを感じたニュースだったが、果たしてその背景に何があったのだろうか…。
この映画を観たらそこに思いを巡らさずにはいられない。
スイスのとあ… 続きを読む
つい最近、薬の誤投与で患者を死亡させてしまった病院が謝罪会見を行なっていた。単純に「あり得ない」と憤りを感じたニュースだったが、果たしてその背景に何があったのだろうか…。
この映画を観たらそこに思いを巡らさずにはいられない。
スイスのとある州立病院で外科病棟を担当するベテラン看護師の、ある日のレイトシフト勤務に密着した物語。
『ウォーフェア 戦地最前線』(’25)は、ある局地の戦闘をリアルに再現して観客に戦場の恐ろしさを見せつける映画だった。
本作は、一人の看護師の業務をリアルに見せていて、観客はあたかもすぐ横で彼女を見つめているかのようで、ともすればリアル・タイム進行だと誤認してしまうほどだ。
加えて、劇映画としてキチンと主人公の人物が描かれてもいる。
看護師の名前はフロリア・リント、演じるのはレオニー・ ベネシュ。
ベネシュは撮影前に病院のインターンシップ課程で看護師の行動を学んだらしく、誤魔化しなしの処置の動作(それを判定できる知識が私にはないが)を見せている。そして、彼女はほとんど出ずっぱりだ。
その日のレイトシフトは欠勤者が出たため、2人の看護師で26人の患者の世話をすることになる。さらにインターンの面倒もみなければならないのだ。
フロリアは、13人の患者リストを折りたたんで胸ポケットに入れ、1人対応を終えるごとにチェックマークをつけていく。
そのリストは、各患者の状態から優先順に並んでいるようだ。
映画はさながら心理サスペンスのごとく、ジワジワとフロリアを追いつめながら我々観客をも追いつめていく。
次々に降りかかってくる様々な方面からの要求や不測の事態。
患者に対しては毅然とした態度や優しい気遣いを見せながら、手際よくマルチタスクをこなしていくフロリアが優秀な看護師であることは明白だ。それでも疲労と焦燥は確実に彼女に蓄積していき、いつかミスを犯すのではないかと観客はハラハラする。
ベネシュの演技のみならず、音楽やカメラワークを駆使した演出が緊張感を高めていく。
我がままなセレブ患者にとうとうブチ切れてしまい、同僚看護師とそれを笑い合う場面は痛快だ。
何度注意しても喫煙をやめない患者からタバコを取り上げる場面もある。
が、しかし…。その患者たちも深刻な病状で入院している点において他の患者と変わりはなく、それに思い及ばないフロリアではない。
彼女の疲れ切った心を占めるものは、やはり患者に対する献身の思いなのだろうと思う。
それが、物語の終盤で2人の患者にそれぞれあるものを返す場面に象徴されている気がする。
13人の患者リストの一番最後の患者…
その息子から何度も「いつ来るのか」と廊下で問われ、待つように答えていた。
その患者のところに、思わぬタイミングで行かねばならなくなる。
過酷な労働の終盤に、フロリアを襲うその事態に同情するばかりだ。
患者やその家族たちは、ある者は最初から、ある者は次第に、フロリアの能力と人柄と献身に感謝するが、13番目の患者の息子にだけはそれが届かなかったのが残念だ。
死と向き合う患者やその家族に向き合う看護師。
同じ現場にいても医師とは明らかに地位も権限も劣る看護師。
だがある場面では医師よりも必要な存在だ。
スイスの看護師不足は深刻な社会問題らしい。だがそれは、日本を含む世界中において他人事ではない。
食事もせずぶっ通しで手術をしていたという医師も登場したから、過酷なのは看護師ばかりではないだろう。
ひとつのミスが人の命に関わる医療現場での、これはリアルな一面なのだろう。
フロリアは病院にバスで通勤している。
映画のイントロダクションでは出勤する彼女の後ろ姿が映される。
エンディングでも夜のバスで帰路につく後ろ姿を追っている。
バスに乗ったフロリアが疲れた体を隣の席の女性に預けるが、その女性こそ“あの患者”だ。
今日おろしたてのスニーカーは、今泥だらけになってロッカーに片付いている。
今夜はあの患者がフロリアを優しく癒してくれるだろうことを示唆して、映画は終わる。
とてもこんな言葉では足りないが、「お疲れ様でした」と彼女を労いたい…。
看護師に捧ぐ
starstarstarstarstar - 6ヶ月前
この想いが強く伝わってきました。自分も40年以上時間に追われる仕事に携わってきましたが、ミスをしても人の生命には関わりません。そう考えると人命に関わる業務の看護師の方々の報酬の低さに人材不足の要因があるのでは無いかと感じます。映画のような看護師さんの一日はたぶん当たり前の日常にすぎないのでしょう、それだけに心から敬意を表します。