響くヨイクと水音
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酷く保守的で閉鎖的で陰鬱で濃い差別意識の空気が漂い、辛気臭い眼をした大人子供達の中で、エレ・マリャ(クリスティーナ)の眼だけは前を向き続ける強さを感じた。 辛い仕打ちを受けても決して屈しない むしろ図太いくらいの心意気を持つ彼女を応援したくなる。 ニクラスとのロマンスには心が震えた。 たぶんニクラス的には一夜の愉しみのようなものなんだろうけど、彼とのキスがサーミの縛りからの脱出を決心する一つのきっかけになったのは間違いないと思う。 その後ウプサラに出てからの居心地の悪さにはまた胸が痛むけど… ラップランドに一度戻り母親から街に出ること、進学を実質認められたところで若き頃の回想パートは終わるけど、おばあちゃんになった現在に至るまでまた非常に苦労したんだろうことが想像できる。 名前も家族も捨てて自分の足で新しく道を作らなきゃならないのは、差別がなくても容易いことではないのに。 そして出身への差別意識は現在でも残っていて、また村の人達の閉鎖的な空気も残っていそうなことに頭が痛くなる。 「あなたの脳は文明に対応できない」という先生の言葉には衝撃を感じたし寒気がした。 賢く進学を希望する若者によくそんなこと言えるなと。絶対にあってはならない言葉だと思う。 特にあの先生から名前をもらうほど敬愛していたクリスティーナにとっては残酷すぎる。 誰が悪いとも良いとも言えないし自分をどの人物に置き換えてみてもしんどくなる内容だけど、歌われるヨイクの響きがとても美しくてそれを聴くたびに何か救われたような気分になった。 特に最後、妹の遺体にサーミ語で語りかけ エンディングでヨイクを歌うクリスティーナには涙が出てくる。 自由になるため捨てた故郷とはいえ家族や懐かしい風景に思うことはたくさんあるだろうし、罪悪感も持っているだろうと。 ヨイクを歌うたびに故郷を想う、という序盤での台詞を思い出して胸が締め付けられた。 出身や民族からくる差別って、日本や他の国でも多いんじゃないかと考えに至ってしまう。 時代が進んでも完全に無くすのは難しいのかもしれない。 もしかしたら自分も無意識に持っているものなのかもしれない。 それでもこのような映画を観て改めて気付き、問題意識を持つことは解決への一歩だと思いたい。