主人公にとっての「夜」は明けたのか。
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役者・柳楽優弥がとにかく大好きで なんとかして観たくて観に行った作品です。 予告編では 「是枝裕和監督の秘蔵っ子」とありましたが その期待に負けない印象深い作品でした。 ■全編「柳楽優弥」120分一本勝負 もちろん小林薫さんという大御所が どっしりと脇を固める作品ではあるのですが もはや小林さんの演技は定評あり過ぎて あまりに自然で逆に印象がないほど(^^) 反面、その向こうを張った柳楽さんの演技は 叫び怒りといった分かりやすい小細工が 効かない演出なだけに 常に物憂げながらもしっかりとした存在感を 醸し出す「吉田真一」の輪郭を 物の見事に浮き彫りにしていました。 なお、小林さんの他は堀内敬子さん以外 めぼしい有名な役者が見当たらず (もし居たならごめんなさい!) 下手すると主役単独で浮いてしまうようなことに なりかねない配役だったと思いますが 心配は杞憂に思えるほどのいい演技でした。 その点は大満足。 (実は堀内敬子さんも大好き) ■中盤まで理由が明かされない物語 お話はといえば 予告編での「?」が中盤までずっと 解消されないままに進んでいきます。 こいつは一体だれなのか なんでこんな町に突然現れたのか そういった謎を中盤までずっと抱えながら 特に過去描写なども明確に示されず ずっと忍耐強く観ていなければなりません。 ぶっちゃけ眠気注意です(^^) ■主人公の本心を簡単には理解させない手腕 中盤を過ぎて、段々と上記の謎のベールが 玉ねぎの皮をゆっくり剥くように 一枚、また一枚と剥ぎ取られていくのですが それでも 「あー、つまりこういうことね」 と観ている側に簡単には納得させない 複雑な心理描写と演技が さらに本編にのめり込ませていきます。 加えて、途中まではその謎解き的な要素が 重い部分を占めていますが 映画は段々と人の"生きるべき姿"ともいう 深くて重たいテーマへと 徐々にゆっくりと変貌していきます。 そのあたりは柳楽さんだけでなく 小林さんの演じる役にも 同じくらいの量でのしかかってきて 遂にそれが一つの事実となって みんなの前に晒されてしまいます。 しかも、かなり唐突に。。。 ■長回しが織りなす痛々しいまでの緊張感 全編を通して、なかなかカットが切り替わらない 長回しのシーンがとてつもなく多い本作。 オープニングからしてそれが顕著で 特に登場人物たちが辛い心情を吐露する場面は なんの救いもなく ずっとカメラが切り替わらないので 観てるこっちとしては とにかく痛々しいことこの上ない。 カットが変わることで ほんのり感情をリセットさせて 長くて辛いシーンを観ていられるというのに 観客にそれを許しません(^^) これは今後、本作監督の大いなる武器となって より個性化されていくのかもしれませんね。 『ブラックスワン』の監督でもある ダレン・アノロウスキー作品のように。 とにかくいい意味で"息が詰まります"。 ■最後は観ている観客が答えを出す そして最大かつメインのテーマ。 主人公にとっての「夜」は明けたのか。 「夜明け」は来たのか。 それは結局のところ誰にも分からないのですが きっと明けたと信じてもいい、信じたい。 そんな風に思わされるいいラストでした。 私はこういう終わり方、割と好きです。 劇中でも小林さんがはからずも 「そんなことぐらい、自分で決めろ」 と言い放つシーンがありますが まさにあの言葉は主人公にも そして観ている観客にも投げかけられた 一種の謎かけなのかもしれません。 ■そんなわけで、まとめ 柳楽ファンとしても納得 新進気鋭の監督による未来性を 大いに感じさせられるも 一般大衆向けとしてだれもが楽しめるかというと そういうわけでもない濃厚な2時間でした。 [14:00]新宿ピカデリー・スクリーン8️⃣ P.S. ちなみに映像自体は2時間の間中 ほぼほぼ暗いシーンがやたら連続する 「夜明け前」といった感じです。 暗いおかげでよく観えない所すらあるほど。 そこは徹底してます(^^)