☆3.5
序盤は主に「インテリで吝嗇な大学教授VS高卒でリッチな営業マン」の産まれる子供にアドルフという名を付けるか、という理屈・屁理屈マウント合戦だが、次第に対立する内容が変わり、対立する相手が替わり、各々が各々に抱いている感情をぶつけあい、エグい… 続きを読む
序盤は主に「インテリで吝嗇な大学教授VS高卒でリッチな営業マン」の産まれる子供にアドルフという名を付けるか、という理屈・屁理屈マウント合戦だが、次第に対立する内容が変わり、対立する相手が替わり、各々が各々に抱いている感情をぶつけあい、エグい秘密暴露大会が勃発、それに伴う建前なしで感情剥き出しの悪口と理論の応酬が時にアンジャッシュのコントのような噛み合わないまま次々と猛スピードで繰り広げられていく。90分があっという間。 スケールが小さい分、原作通りの舞台向き作品ではある。 次々起こる対立の中で最も印象に残ったのは、最後の主人公夫婦の「ありふれた対立」だった。それまではフィクション上で事情を抱えた人々の奇天烈さを眺める一観客としての面白さであったのに、ある意味この最も「ありふれた対立」は観客(特にエリザベトと同じ経験をした人)を当事者に変える。これまでの80分の話しや振る舞いはエリザベトの「名演説」までの伏線だったのではと感じさせる程、端端に「自分は順調にキャリアを積む一方、家事育児を妻に鮮やかに丸投げし、一度として妻に謝罪や感謝をしない、厄介ごとを妻に押しつける、尊大で気の利かない『ありふれた夫』」が描かれている。