柄本佑、素晴らしい
肉体の傷なら血が出て気づいてもらえるけれど 心の傷からは血が出ない。 誰にも気付かれず、自分でさえも気付かない。 知らずに傷口が広がって、取り返しの付かない事態を招いてしまう。 阪神淡路大震災で自らも被災しながら人々の声を受け止め 心のケ… 続きを読む
肉体の傷なら血が出て気づいてもらえるけれど 心の傷からは血が出ない。 誰にも気付かれず、自分でさえも気付かない。 知らずに傷口が広がって、取り返しの付かない事態を招いてしまう。 阪神淡路大震災で自らも被災しながら人々の声を受け止め 心のケアに打ち込んだ精神科医、安克昌医師の著書名をそのままタイトルにした今作。 NHKで放映されたドラマを再編集した劇場版。 『在日』であることで通名を名乗らなくてはならなかった後ろめたさ、常に優秀な兄と比較され、厳格な父には決して認めれなかった事へのコンプレックス。 いつしか、何より複雑な人の心を知りたいという思いに駆られて精神科へ進む事を決意する。 被災した人たちがひしめく様に過ごす避難所で一人一人に根気強く向き合った安先生。 優しい優しいこの人はきっと人生で声を荒げた事などなかったのだろう。 柄本佑という人は静かな役がほんとに上手い役者さん。 優しい語り口の関西弁もとても良かった。 周りを固めるキャストも素晴らしかった。 お陰でアイメイクは全て流れた。 映画では描ききれなかった部分が知りたくてオンデマンドでドラマ版を見直して、また涙。 この国は心に傷を負った人達を受け入れる社会を作るのか それともそんな人達を弱い人間として排除する社会を作るのか? 奇しくも今日は東日本大震災からちょうど10年の節目の日。 志し半ばで亡くなった安先生は今の日本を、 未曾有の病魔に犯されたこの世界を、 空の上から憂いているだろうか